読売新聞朝刊「医療ルネサンス増える環境過敏症」に対する見解

 

 2011年9月13日~15日の読売新聞の朝刊において、「医療ルネサンス増える環境過敏症」が掲載されましたが、その記事に対する電磁界情報センターの見解は、以下のとおりです。

○今回の記事は「電磁過敏症」を扱ったものですが、断片的な事実を紹介するに留まっています。「電磁過敏症」についての世界保健機関(WHO)や各国の政府機関の見解は、電磁界が原因で諸症状が発生すると訴える人々はいるものの、さまざまな研究結果から発症原因が電磁界ばく露である科学的根拠はないとしています。

○「電磁過敏症」を引き起こす原因についての科学界における共通認識を紹介せずに、客観的視点を欠いた事例報告を紹介するのは、読者に電磁界の健康影響への歪んだ印象を与えかねないと危惧します。

 以上の見解については、参考資料としてWHOのファクトシートを同封の上、9月16日付で電磁界情報センター所長名の文書にて読売新聞社(医療情報部長宛)に意見として提出いたしました。
 この意見には、今後電磁界に関する記事を掲載する際には、WHOなど電磁界の健康リスク評価を行っている専門機関の科学的な根拠に基づく見解も併せて紹介していただきたい旨の要望を付記しております。

 なお、今回の記事で紹介された電磁過敏症や小児白血病(超低周波磁界の発がん性分類“2B”)に関するWHOの見解(ファクトシートより)は、以下のとおりです。

◎ファクトシート296(電磁過敏症)
『EHS(電磁過敏症)は、人によって異なる多様な非特異的症状が特徴です。それぞれの症状は確かに現実のものですが、EHSには明確な診断基準がなく、EHSの症状を電磁界ばく露と結びつける科学的根拠はありません。』

◎ファクトシート304(基地局および無線技術)
『基地局および無線ネットワークからの弱いRF(無線周波)信号が健康への有害な影響を起こすという説得力のある科学的根拠はありません。』

◎ファクトシート322(超低周波電磁界へのばく露)
『疫学的証拠は、選択バイアスの可能性など手法上の問題によって弱いものになります。低レベルのばく露ががん発生に関与することを示唆するような生物物理学的メカニズムとして正当と認められたものはありません。動物研究は主として影響なしとの結果をしています。これら全てを考慮すれば、小児白血病に関連する証拠は因果関係と見なせるほど強いものではありません。』

↓ 以下のリンク先は、WHOホームページのファクトシート掲載ページです。
http://www.who.int/peh-emf/publications/facts/factsheets/en/index.html

以 上