よくある質問と回答
8-1電磁波過敏症とは何でしょうか?
生活環境で遭遇し得る、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)のガイドラインよりも遥かに低いレベルの電磁波(電磁界)へのばく露によって、皮膚への症状(発赤、チクチク感、焦熱感)や頭痛や睡眠障害、倦怠感、めまいなどの不特定の症状が生じるという、いわゆる「電磁過敏症(電磁波過敏症)」を訴える人々がいます。
「電磁過敏症」を訴える人々を対象とした実験室環境での調査で、その本人および調査実施者の双方に対し、電磁界ばく露がある条件とない条件を伏せて(ダブルブラインド法といいます)、電磁界ばく露の有無を認識できるかどうか、症状が生じるかどうかが調査されています。その結果、ばく露されているのに、そのことを認識できず、症状も生じない場合がある一方、ばく露されていないのに、ばく露されていると認識し、症状が生じる場合があるなど、症状と実際の電磁界ばく露との間には因果関係は認められていません。
「電磁過敏症」を訴える人々の症状それ自体は現実のものですが、その発症には、電磁界とは関係しない環境因子(例えば、照明のちらつきや室内の空気の質)、生活環境や職場での様々なストレス、「電磁界には健康に悪影響があり、自分はそれにばく露されている」と信じ込むことによって生じる心理学的反応などが関連している可能性が示唆されています。また、実際にはより深刻な病気による症状を、本人は電磁界ばく露が原因であると信じ込んでしまうと、治療の機会を逃してしまうおそれもあります。
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8-2電磁過敏症(電磁波過敏症)と訴える方は実際に調子が悪くなって困っています。国として何か検討していますか?
「電磁過敏症(電磁波過敏症)」を訴える人々がいることは事実であり、そうした人々への対処が望まれます。
ただし、電磁波(電磁界)へのばく露と症状との因果関係は認められておらず、客観的な指標による明確な診断基準もないことから、どのような人々を対象に、どこまで対処するかということについては、社会としてどうすべきかという政治・行政上の判断が必要です。世界保健機関(WHO)は、各国政府に電磁過敏症と電磁界ばく露との結びつきに関する科学的根拠は現在、存在しないという明確な声明を含めるべきであると述べています。今のところ、日本政府は具体的な対策を取っていません。
なお、電磁界情報センターが把握している範囲では、「電磁過敏症」を訴える人々に対する公的な支援として、スウェーデン政府が社会保障の一環で環境改善費用のための補助金を拠出している事例があります。ただし、これはスウェーデン政府が電磁界ばく露と「電磁過敏症」との因果関係を認めたことを意味するものではなく、原因が何であれ「電磁過敏症」を訴える人々が苦しんでいるという事実に着目し、その救済を意図しているものです。
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8-3電磁過敏症かもしれないのですが、病院で診断してくれますか?また、何科で診断してくれるのですか?
「電磁過敏症(電磁波過敏症)」は正式な診断名称ではありません。
その症状や重症度は人によって様々で、客観的な指標による明確な診断基準も確立されていないため、正確な診断もできません。このため、電磁過敏症の対策が立てにくいのが現状で、残念ながら、具体的に受診を推薦できる診療科はありません。
「電磁過敏症」を訴える人々の症状それ自体は現実のものですが、その発症には、電磁波(電磁界)とは関係しない環境因子(例えば、照明のちらつきや室内の空気の質)、生活環境や職場での様々なストレス、「電磁界には健康に悪影響があり、自分はそれにばく露されている」と信じ込むことによって生じる心理学的反応などが関連している可能性が示唆されています。
一般論として、「電磁過敏症」の症状については、内科、あるいは心療内科を受診することを検討してはいかがでしょうか。実際にはより深刻な病気による症状を、本人は電磁界ばく露が原因であると信じ込んでしまうと、治療の機会を逃してしまうおそれもありますので、電磁界以外が原因である可能性についても目を向けるようにしてください。
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