5-5 ICNIRPとはどのような組織ですか？
国際非電離放射線防護委員会（ICNIRP）は、非電離放射線の悪影響からヒトと環境を防護することを目的として、1992年に設立された非営利・非政府組織で、非電離放射線ばく露を制限するための科学に基づく助言を策定し、その普及に努めています。
ICNIRPの助言は、ガイドライン、レビュー、声明といった形で提示されます。またICNIRPは、現在の科学的知見についての情報提供のためのワークショップを開催し、非電離放射線防護についての対話促進のための機会を提示しています。
ICNIRPは、世界保健機関（WHO）および国際労働機関（ILO）の公式協力機関として正式に認定されています。またICNIRPは、非電離放射線防護のための世界規模の様々な協業プロジェクトを通じて、多くの組織とつながっています。
ICNIRPが対象とする非電離放射線には、以下のものが含まれます。
- 波長が100 nm（ナノメートル）［100 nm＝0.1µm（マイクロメートル）］以上、または周波数が0～3 PHz（ペタヘルツ）［3 PHz＝3×1015 Hz（ヘルツ）］の電磁界。これには、静電磁界（0 Hz）、低周波電磁界［1 Hz～100kHz（キロヘルツ））］、高周波電磁界［（100 kHz～300GHz（ギガヘルツ）］、赤外線、可視光線、紫外線が含まれます。
- 周波数が20 kHzを超える超音波、および20 Hz未満の超低周波音
ICNIRPは、1973年に国際放射線防護学会（IRPA）の内部に設置された国際非電離放射線委員会（INIRC）をその母体として、1992年にIRPAから独立しました。
ICNIRPの運営資金は、各国および国際的な公的機関からの助成金でまかなわれています。これには、欧州連合（EU）の雇用・社会改革プログラム、IRPA、ドイツ連邦環境・自然保護・建設・原子力安全省（BMUB）、オーストラリア放射線防護・原子力安全省（ARPANSA）、ニュージーランド保健省などが含まれます。
ICNIRPは、議長1名、副議長1名および最大12名のメンバーで構成されています。メンバーは非電離放射線防護に関連する学術分野（生物学、疫学、物理学、生物物理学、医学）の独立した専門家で、出身国や所属組織を代表するものではありません。メンバーには、ICNIRPの活動に関連して個人的利益を得ることがないという宣言書の提出が求められます。メンバーは、現行のメンバー、IRPAおよびIRPA関連学会、ならびに放射線防護を担当する各国当局からの推薦に基づいて選出されます。メンバー選出は4年ごとに実施され、任期は最長で3期12年です。
ICNIRPの科学的課題を支援するため、科学専門家グループ（SEG）として外部の科学者が選出されます。また、作業計画に従って特定のプロジェクトについて協業するため、ICNIRPとSEGのメンバーがプロジェクトグループ（PG）に参加しています。
