電磁波(電磁界)の性質は周波数によって異なり、おおむね100kHz(キロヘルツ)までの低周波電磁界と、おおむね100 kHz以上の高周波電磁界に分けられます。
高周波電磁界の場合、電界と磁界が交互に発生しながら電波として空間を伝わっていきます。したがって、電界または磁界のどちらかを遮へいすれば、その先への伝わりを阻止することができます。具体的には、導電性の材料(電気を通しやすい材料)で対象物のまわりを囲えば、遮へい効果が得られます。
低周波電磁界の場合には電界と磁界を別々に扱います。磁界を防ぐ方法としては、透磁率の高い材料(磁力線を透しやすい電磁純鉄やパーマロイなど)で対象物を囲うという方法があります。電界については高周波の場合と同じように、導電性の材料で囲えば、遮へい効果が得られます。
例えば、低周波・高周波電磁界からの影響を考慮する必要がある機器に対しては有効です。
ただし、低周波・高周波電磁界のどちらの場合も、遮へい対策を講じていない部分があれば十分な効果は発揮されません。例えば室内の防護を考える場合、壁に対策を講じても、窓に講じなければ、そこから電磁界が回り込んで入ってくるため、低減効果はあまり期待できません。
なお、生活環境で遭遇する電磁界のレベルは低く、健康に悪影響を及ぼすとは考えられないため、そのような対策を講じる必要はありません。
世界保健機関(WHO)でも電磁界の防護対策についての評価結果をファクトシートで公表し、防護対策は必要性がないとの見解を示しています。