測定器に係わる規格

JIS

一般環境における様々な電磁界の強さに関心が高まるなか、その用途に応じた測定器が開発されています。しかし、電磁界の周波数、時間的な変動の有無、空間内の分布の違いによって、測定器の仕様や測定手順は異なります。
そこで、人への電磁界ばく露に関する測定器および測定手順については、日本産業規格JIS C 1910-1「人体ばく露を考慮した直流磁界並びに 1 Hz〜100 kHzの交流磁界及び交流電界の測定− 第1部:測定器に対する要求事項」で規格化されています。この「JIS C 1910-1」は国際規格である国際電気標準会議「IEC 61786-1:2013」を基に,技術的内容及び構成を変更することなく作成された 日本産業規格です。
日本産業規格(JIS: Japanese Industrial Standards):国が定める日本の産業分野 における標準(規格)
JIS****は個々の規格を表します
国際電気標準会議(IEC: International Electrotechnical Commission):電気電子及び関連技術分野の標準化を行う機関IEC****は個々の規格を表します

測定器のしくみ

測定器

空間に存在する磁界はある方向を持った強さ(ベクトル)ですが、方向がわからない場合の測定には、3軸測定器が適しています。3軸測定器は3軸(3次元)それぞれの強さを測定でき、この3軸の強さを合成した値を計算、表示するため、磁界の方向を意識することなく測定できます。

3軸測定器の他に1軸測定器がありますが、これはある方向の磁界しか測定できないため、直角となる3方向でそれぞれ測定し、その結果を合成計算する必要があります。従って、1軸測定器による一回だけの測定では、正しいベクトル測定ができませんので、3軸測定器のほうが簡便に使用できます。

なお、測定器を選ぶ時には、測定器が1軸か3軸かを仕様書により確認する必要があります。

測定器

測定器の特性

日常の暮らしのなかに様々な周波数の磁界が存在しますが、測定器も周波数によって測定精度(誤差やひずみ)や測定できる周波数の範囲が異なります。

たとえば、下のような特性(ひずみ)を持った測定器を用いて1マイクロテスラの磁界を測定した場合、左下図の測定器では、50ヘルツでは1マイクロテスラと表示しますが、45ヘルツではひずみが-60%なので0.4マイクロテスラ(1-1×60%)と表示されます。一方、右下図の測定器では、60ヘルツでは1マイクロテスラと表示しますが、1000ヘルツではひずみが+800%なので9マイクロテスラ(1+1×800%)と表示されます。

周波数と精度のグラフ

このことからも、低周波磁界を対象とした測定器を用いて、高い周波数の磁界を測定した場合は、その値は正確ではありませんので、測定器の周波数特性を仕様書などで確認する必要があります。

測定器の種類

一般に入手できる測定器には、前述した仕組みの違い(1軸と3軸)や周波数特性の異なるものの他にも、用途によっていくつか種類があります。

たとえば、瞬時の値を測定できる測定器もあれば、長時間の値を連続測定してメモリー機能により記録できる測定器もあります。

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