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電力設備から発生する低周波磁界については、法律への適合性を評価する必要がありますが、測定器の特性や測定位置などの違いによって各国で測定値が異なることから、国際的に共通する手順書の作成が求められていました。これを受け、電気電子分野における標準化に関する議論を行うための国際機関であるIEC(国際電気標準会議)で、電力設備により発生した磁界に対する人体ばく露に関する測定方法の標準化検討が行われ、2009年に国際規格IEC62110が制定されました。
国内では、2011年に「電気設備に関する技術基準を定める省令」1)が改正され、電力設備から発生する商用周波磁界の大きさを、人体が占めている空間の平均値として200マイクロテスラ以下に制限する規定が盛り込まれ、それと同時に、「電気設備の技術基準の解釈」2)が一部改正されました。そこでは、測定方法としてIEC62110が採用されています。
なお、日本産業規格としてはJIS C 1911「交流電力システムから発生する電界および磁界の強さー公衆の人体ばく露を考慮した測定手順」がありますが、これはIEC62110を翻訳し技術的内容を変更することなく作成されたものです。
IEC62110では、磁界における人体が占める空間の平均値の求め方としては、その空間分布の違いおよび電力設備の種類によって、測定方法を定めています。
空間的に均一な磁界の場合(たとえば、架空送電線や架空配電線等)は、地表または建物内の床面から高さ1.0mの1点での測定値を空間平均値とします。
空間的に不均一な磁界の場合(たとえば、地中ケーブルの上方や変電所、路上変圧器やケーブル立ち上がり部の側方等)は、地表または建物内の床面から高さ0.5m、1.0m、1.5mの3点でそれぞれ測定を行い、3点の測定値の平均を空間平均値とします。
高さ1.5m未満の路上変圧器の場合は、その高さの1/3倍、2/3倍および1倍の箇所で測定し、3点の測定値の平均値を空間平均値とします。
なお、電力設備の近傍または建物内では、電力設備の表面、境界または壁面から水平に0.2m離れた位置で3点の測定を行います。
磁界の発生源が地下または床下にあり、人がその上に横たわる可能性が高い場合についても、測定方法が定められています。
また、IEC62110 では、電力設備周辺から発生する磁界の最大レベルを探すための手順も定めています。