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騒音が小さく、排ガスを出さない環境にやさしいとされる電気自動車は、エンジンの代わりにモーターと制御装置を使い、ガソリンの代わりにバッテリーに蓄えた電気で走る車です。
ハイブリッド車は、ガソリンで動くエンジンと電気で動くモーターの両方を備えているのが特徴です。走り出しや高速道路で加速する場合など馬力が必要となるときに、ガソリンを使ってスムーズな走行を助け、その後にスピードが一定になると、動力をガソリンから電気に切り替えて走行します。
また、プラグインハイブリッド車(PHV)は、外部電源から充電できるタイプのハイブリッド自動車で、走行時にCO2や排気ガスを出さない電気自動車のメリットと、ガソリンエンジンとモーターの併用で遠距離走行ができるハイブリッド自動車の長所をあわせ持つ自動車です。
定速走行時の自動車内における交流磁界の測定と、磁界の周波数分析について紹介します。測定概要は下表のとおりです。
対象車種 | 電気自動車(EV) ハイブリッド車(HV)〔各1台〕 ガソリン車(ICEV) |
---|---|
測定座席 | 運転席 助手席 後部座席(運転席後方) |
測定位置 | 右図のように各座席、 人間の頭部(A・B)、腹部(C・D)、 脚部(E・F) に相当する位置6点 |
走行速度 | 0km/h(アイドリング状態) 10km/h(徐行走行程度) 40km/h(一般道走行程度) 80km/h(高速道走行程度) |
測定値には、シャーシダイナモ(床面下のローラーを回転させて自動車の走行状態を模擬できる装置)などの屋内試験施設から発生する磁界も含まれるため、事前にその周波数成分を確認し、解析の際に測定結果からこの周波数成分を減算しました。
下図に、各車種から発生する磁界の周波数特性の一例(測定条件;運転席・40km/h・測定位置F)を示します。自動車内の磁界は連続的な周波数ではなく、複数のピーク周波数を持つ磁界が発生していることがわかります。この測定では、いずれの車種も6Hz付近に最も大きい磁界が存在し、電気自動車とハイブリッド車には6Hz以外にもピーク周波数が存在しました。
なお、速度別に最大磁界となる周波数は、10km/h走行時で約1Hz、40km/h走行時で約6Hz、80km/h走行時で約12Hzであり、車種や測定位置の違いによる差はありません。
測定位置では脚部が頭部や腹部に比べて大きく、座席による比較では運転席や助手席が後部座席よりも大きくなりました。各車種の最大磁界とその測定条件を下表に示します。いずれにおいても人への健康影響を考慮して国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)が公表している、電磁界ばく露の制限に関するガイドラインの磁界参考レベルよりも小さい値でした。
測定条件 | ピーク周波数 | 最大磁界値 | ICNIRPガイドライン値 | ||
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車種 | 速度 | 位置 | |||
電気自動車 | 10km/h | 運転席・脚部 | 1Hz | 1.38µT | 40,000µT |
ハイブリッド車 | 10km/h | 助手席・脚部 | 1Hz | 1.38µT | 40,000µT |
ガソリン車 | 40km/h | 運転席・脚部 | 6Hz | 4.20µT | 1,111µT |