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送電線等の電力設備や家電製品、携帯電話、携帯電話基地局等から発生する電磁界が原因で、皮膚への症状(発赤、チクチク感、焦熱感)や神経衰弱症、自律神経系症状(倦怠感、めまい、動悸)等の症状が出ると訴える人がおり、そのような認知を前提として報告される症状を一般に「電磁過敏症」と呼んでいます。
しかし、国際的にこれまで多く実施された「電磁界」と「電磁過敏症」の関係を調べた研究では、その関連性は認められていません。
世界保健機関(WHO)でも電磁過敏症に関する研究文献をもとに検討を行い、2005 年末にその評価結果をWHO ファクトシートNo.2961)で公表しています。それによると、「電磁過敏症は明確な診断基準を持たず、電磁過敏症と電磁界ばく露を結び付けるような科学的根拠は存在しない」と結論しており、また「電磁過敏症は医学診断でもなければ、単一の医学的問題を表しているかどうかも不明です」としています。その理由は以下のとおりです。
WHOファクトシートNo.296では関係者に向けて以下のような助言を行っています。
臨床医に向けては、
政府に対しては、
以上がWHO の電磁過敏症に対する見解ですが、その後行われた研究でもこれを変更する結果はえられていません。
二重ブラインド法とは、臨床試験で薬の効果を評価するひとつの方法です。患者も医師も本当の薬か偽薬かわからない条件で、薬を投与してその効果を判定します。その後で第三者が薬と偽薬がそれぞれどの患者に投与されたか開示することにより、患者や医師の先入観を排除して客観的に薬の効果を評価する方法です。
電磁界についての実験では、被験者、実験者ともに電磁界ばく露が与えられているかいないかの状況を知らずに、電磁界の有無の感知、種々の生体反応の測定を行い、データを整理します。その後に第三者が、実際にばく露が与えられた期間を開示して、データとばく露の有無を照合した分析をします。そのような実験研究では、“電磁過敏症”の人とそうでない人との間で電磁界を感知する能力に差がないという結果がえられています。