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超低周波電磁界による健康リスク評価方法については、化学物質へのばく露によるヒトの健康へのリスクの評価に関する原則を示したWHO 環境保健クライテリアNo.210 にもとづいています。
(WHO環境保健クライテリアNo. 238、第12章「健康リスク評価」)
リスク評価は、ばく露の健康影響または環境影響の評価に関連した情報の構造的レビューの仕組みを提供する概念的な枠組みであり、この評価プロセスは、4 つの段階(ハザードの同定、ばく露評価、ばく露-反応評価、リスクの特徴付け)に分けられます。
ハザード同定の目的は、毒性および作用形態に関する入手可能なあらゆるデータの評価にもとづき、ヒトへの悪影響の証拠の重みを評価することです。
おもに、
という2つの問題に対処し、ヒトの観察から実験室で実施される研究におよぶかもしれない多様なデータや、可能性のある作用のメカニズムの分析にもとづき、ハザードを同定します。
ばく露量-反応評価は、ばく露を受けることと影響の発生との間の関係を定量的に特徴付けるプロセスです。可能性のある悪影響の種類のほとんど(例:神経学、行動、免疫学、生殖・発育への影響)については、それ以下では悪影響が生じない電磁界ばく露レベル(すなわち閾値)が存在すると一般的に考えられています。しかし、がんなどのその他の影響については、閾値は存在しないかもしれません。
ばく露評価とは、異なる条件下での電磁界ばく露の性質と範囲を決定することです。
ばく露評価の実施には、多くのアプローチが利用でき、環境および個人ばく露の測定のような直接的手法、および、たとえばアンケートや計算機技法による間接的手法があります。
リスクの特徴付けは、リスク評価における最終段階です。この目的は、意思決定に必要な、リスクに関する本質的な科学的証拠および理論的根拠を提供することによって、リスク管理者を支援することです。リスクの特徴付けにおいては、関連するばく露シナリオのもとでヒトの健康に対するリスク推定値が提供されます。すなわち、リスクの特徴付けは入手可能な科学的証拠の評価と統合であり、特定の状況下における電磁界ばく露の結果として生じることが合理的に推定ができる人体に対するリスクの本質、重要性、並びに、しばしば規模および不確かさの認識と特徴付けを含めて評価するために使われます。
以上はWHO の報告書を引用したものであり専門用語が多く含まれていますので、喫煙を例にもう少しわかりやすく解説します。
多くの疫学研究で、喫煙が非喫煙に比べて種々のがんを誘発する確率が統計学的に高いことが確認され、これを裏付ける生物学的研究結果もえられています。そこで、IARC は喫煙をグループ1(ヒトに対して発がん性がある)とハザード評価しています。
同じ喫煙者でも軽度喫煙者と重度喫煙者ではがんの発病率は異なり、後者の方が明らかに高いことが示されています。さらに、動物研究でも同様の結果が示されていますので、喫煙という行為のばく露量(喫煙本数)と反応(がんの発病率)との間に比例関係が認められます。
全人口に占めるリスクグループ、つまり喫煙者の割合を推定することです。
上記の3項目からえられた情報にもとづき、公衆衛生行政担当者や職場の衛生管理者に対して喫煙のリスクを明らかにし、その対策の必要性や具体的な禁煙(分煙)方法を提示する作業です。
※1 ハザード(hazard:危険性、有害性)とは、人に危害を及ぼす可能性(潜在的危険性)のある因子をいいます。
※2 リスク(risk:危険度)とは、ハザードによって生じる恐れのあるけがや疾病の重篤度とその発生する可能性の度合い
をいいます。