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2009年に、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)は、1994年に勧告した静磁界ガイドライン1)を見直し、新しい静磁界ガイドライン2)を公表しました。
1994年のガイドライン勧告以降、静磁界の健康影響に関係する数多くの研究が行われましたが、世界保健機関(WHO)は国際電磁界プロジェクトの一貫として、これらの研究をもとにリスク評価を行い、2006年に環境保健クライテリアNo.2323)を発表しました。このリスク評価を受けて、リスク管理のための新しいガイドラインを公表したといえます。
新しいガイドラインは、職業的ばく露と一般公衆ばく露について以下のばく露限度値を勧告しています。
頭部および体幹部の職業的ばく露では、空間ピーク値で磁束密度2テスラを超えない。しかし、特殊な職場への適用では、環境が制御され、かつ運動誘導効果を制御するために適切な作業実践が履行される場合、8テスラまでのばく露が許容される。磁界中での運動による感覚的な影響については、低周波ガイドラインに定めた基本制限を満たすことで回避が可能であり、四肢に限定したばく露では、8テスラまでのばく露が容認される。
一般公衆の急性ばく露は、(身体の任意の部分において)400ミリテスラを超えるべきではない。これは職業的ばく露限度値に低減係数5を反映させたものである。間接的な悪影響の可能性があるため、埋め込み型医療電子機器、強磁性材料含有体インプラントを装着した人の不注意な有害ばく露を防止し、強磁性体の飛行による障害を防止するために、実際的な手段の履行が必要であり、非常に低い限度値、0.5ミリテスラになる可能性がある。しかし、このような生物学的でない影響を考慮したばく露限度値の策定はICNIRPが検討する課題ではない。
要点を下表に示します。
ばく露の特性 | 磁束密度 | |
---|---|---|
職業的ばく露b |
頭部および体幹部のばく露 | 2テスラ |
四肢のばく露c | 8テスラ | |
一般公衆ばく露d | 身体の任意の部分のばく露 | 400ミリテスラ |
ICNIRPガイドラインは、科学的知見にもとづいたものです。根拠となる学術データ、科学的知見の蓄積により、ガイドラインのばく露限度値の見直しが定期的に行われます。すなわち、学術の進歩を受けて、ばく露限度値の緩和または厳格化がなされるということです。今回の見直しに当たって、以下の項目が新しい見解として挙げられました。