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環境保健クライテリア(EHC:Environmental Health Criteria)の発刊プログラムは、世界保健総会決議と国連人間環境会議の勧告をきっかけとして、1973年に発足しました。その目的は以下のとおりです。
このプログラムは、国連環境計画(UNEP)、国際労働機関(ILO)、世界保健機関(WHO)の共同プログラムである国際化学物質安全性計画(IPCS:International
Programme on Chemical Safety)の重要な位置を占めています。WHO
国際電磁界プロジェクトの主要な目的は電磁界ばく露についてのリスク評価書であるEHCを発刊することにあります。
上記のようなEHCの目的に沿い、電磁界のEHCは、電磁界ばく露の生物学的影響に関する科学文献を精査し、電磁界ばく露による何らかの健康リスクを評価し、各国当局が健康防護プログラムを作成することを支援することです。
EHCの健康リスク評価は、電磁界関連事業者などから独立した立場にある科学者が行った批判的な評価結果でなければなりません。またEHCは一度作成されたら、それで終わりではありません。EHCの作成は、これまでのリスク評価を大幅に変更させるような新しい証拠が得られた場合や、生活環境で電磁界などの要因ばく露が増大し、それが健康や環境におよぼす影響について公衆の関心が高まった場合、あるいは最後の評価を実施してからかなりの期間が経過した場合に改訂されています。電磁界に関しては、1981年にEHC No.16(無線周波とマイクロ波)、1984年にEHC No.35(超低周波電磁界)、1987年にEHC No.69(磁界)、1993年にEHC No.137(300ヘルツ-300ギガヘルツ)、2006年にEHC No.232(静電磁界)、2007年にEHC No.238(超低周波電磁界)のEHCが発刊されています。
健康リスク評価作業には、電磁界に関連する多数の科学論文を集めることが必須ですが、この研究論文の解釈は、科学界でもそれ以外の世界でも意見に幅があるため、論争を引き起す可能性があります。そのため電磁界について各国または国際的な専門評価機関が実施した報告書も活用し、できる限り幅広い合意の形成に努めています。
リスク評価の対象とする電磁界は、静(定常、Static、0ヘルツ)電磁界、50/60ヘルツの商用周波を含む超低周波(extremely low frequency; ELF、>0-300ヘルツ)電磁界、中間周波(intermediate frequency; IF、>300ヘルツ-10メガ(1千万)ヘルツ)および無線周波(radio frequency; RF、>10メガヘルツ-300ギガ(3千億)ヘルツ)と、広範囲におよんでいます。本来ならば、それぞれの周波数範囲別のEHCを作成すべきですが、中間周波電磁界のEHCを作成するだけの科学的情報がえられていません。そこで、電磁界ばく露の人体への主な作用が、100キロヘルツ(10万ヘルツ)を境に刺激作用と熱作用に大別される事から、100キロヘルツ以下の低周波領域の電磁界については、ELF-EHCで取り扱い、100キロヘルツ以上の高周波領域の電磁界についてはRF-EHCで、それぞれのリスク評価を行っています。
最近のEHCとして、静電磁界に関するEHC No.232(2006年)と100キロヘルツまでの低周波電磁界に関するEHC No.238(2007年)を発刊しています。
なお、EHC作成手順に関する詳しい解説は、各EHCの序文をご覧ください。