非電離放射線の生物学的影響は、時には健康への悪影響(健康影響)をもたらすこともあります。

生物学的影響とは、電磁波ばく露によって何らかの感知される生理学的変化が体内で起こることを指します。健康影響は、その生物学的変化が人体の正常な調節能力を超える場合であり、結果として健康が損なわれることを指します。冬の肌寒い日に日光を暖かく感じたり、日光によるビタミンD生成といった生物学的影響は無害であり、有益です。しかし、夏場の日焼けや紫外線がもたらす皮膚がんなどの生物学的影響は健康影響と言えます。

非電離放射線には紫外線、可視光線、赤外線も含まれていますが、ここでは、周波数が300ギガヘルツ以下の非電離放射線について説明します。この周波数の電磁波には、ラジオ波やマイクロ波などの電波とよばれる高周波(10メガヘルツから300ギガヘルツ)、中間周波(300ヘルツから10メガヘルツ)、商用周波を含む超低周波(0ヘルツから300ヘルツ)、そして時間的に変動しない静的な電磁界に分けられます。次には人体が電磁波にばく露された時に起こる作用について説明しましょう。

人体が電磁波にばく露されると、体内に誘導電流と熱作用を引き起こすことが知られています。100キロヘルツ以上の中間周波電磁界や高周波電磁界は、主として水の分子やイオンを振動させることで熱を発生させます。たとえ非常に低いレベルの高周波電磁界ばく露でもそれに見合った微量の熱を発生します。しかし、人体の生理的な温度調節によって気づかないうちに消去されてしまいます。100キロヘルツ以下の中間周波電磁界や超低周波電磁界は、主として神経や筋を刺激する電流や電荷を誘導します。もともと人体には生理的な電流があるので、もし電磁界にばく露されて、生理的に流れている電流のレベルを超える程の電流が誘導されれば、閃光を感じると言った神経反応を引き起こす可能性があります。

超低周波電界は、電流が流れているかどうかにかかわらず、電荷(電圧)があればいつでもそこに存在します。超低周波電界の強さは電圧に依存します。人体内部に電界が貫通することはほとんどありません。非常に強力な電界があれば、皮膚の体毛が振動することでその存在を感知できます。

超低周波磁界は、電流が流れなければ存在しません。超低周波磁界の強さは電流量に依存します。超低周波磁界は、ほとんど減衰することなく人体を貫通します。

静的電磁界は、電流や電荷を誘導することにあります。

静的電界(静電気)は、人体内部に電界が貫通することはありませんが、皮膚の体毛の動きでその存在を感知できます。非常に強力な静的電界による放電を除いて、冬場乾燥した時に衣服に貯まった静電気による不愉快な放電ショックは誰でも経験しますが、問題となる健康影響はないと考えられます。静的磁界は、人体の内外でその強さを変えません。非常に強い静的磁界は血流または正常な神経刺激に変化を与えます。しかし、医療機関で受診する機会以外には、この様な強い静的磁界に日常生活では遭遇することはありません。

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