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- 身のまわりの磁界の大きさ
日本や韓国などでは、夏の酷暑時に、ハンディファンを使用する人が増えています。特に、若者を中心に夏の定番ファッションに位置付けられるなど流行しており、多種多様なハンディファンが市販されています。
電磁界情報センターでは、これまで様々な種類の家電製品等から発生する磁界の大きさを測定し、ウェブサイト、パンフレット、講演会の資料等で公開してきましたが、今回はハンディファンから発生する磁界を測定しました。なお、本内容は、2024年4月24日に開催された医用生体電磁気学研究会(第16回医用生体電磁気学シンポジウム)および2024年6月に開催されたBioEM2024(in Chania, Crete(Greece))で発表しております。
インターネット上で人気のハンディファンの中から、メーカーの重複を避け、様々なタイプの形状や使用方法の8種類のハンディファンを選定しました。
測定器は、JIS C 1910-1(IEC61786-1)に準拠し、定期的に校正している三軸測定器ELT-400 (Narda S.T.S社製(ドイツ)、測定可能周波数1 Hz~400 kHz)を使用しました。
測定方法は、JIS C 1912(IEC 62233)に準拠し、測定距離は通常の使用方法に基づいて、首に掛けて身体に触れた状態で使用する機種は0cm、手で持って身体から離して使用する機種は10cmで測定を行いました。また、ハンディファンの出力切替を最大風力にして測定しました。
測定した磁界の値を図4に示します。
機器の違い(形状・冷却方式・性能・使用方法などの違い)により、それぞれの磁界の最大値(実効値)は若干異なるものの、いずれも国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)のガイドラインの参考レベル(200µT:25Hz~400Hz)を下回りました。
測定値(実効値)が最も大きかったM⑥機種について距離特性を確認した結果、図5に示すとおり、発生源から離れると、磁界は急激に低くなることが確認できました。他機種においても同様に発生源から離れると急激に低くなることが確認できました。
<参考:JISに基づかない方法による測定値>
JIS C 1912(IEC 62233)に基づかない方法で、局所的な磁界を測定すると、今回の測定結果に比べ高い値を示しましたが、人体への影響を評価するためには、JIS(IEC)において規定された人体ばく露に関する測定方法に基づき測定した値による必要があります。
今回測定した8機種のハンディファンからの磁界の値はICNIRPガイドラインの参考レベル(200µT:25Hz~400Hz)よりも低くなりました。また、磁界は発生源から離れると急激に低くなることが確認できました。