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WHO(世界保健機関)は、超低周波(ELF:Extremely Low Frequency)電磁界を含む、100 キロヘルツまでの低周波電磁界の健康リスク評価を終え、2007 年6 月に、環境保健クライテリア(Environmental Health Criteria:ELF-EHC)No.2381)を発表すると同時に、これに対するWHO の公式見解としてファクトシートNo.3222)を報道局から発表しました。この発表は1996年に発足したWHO国際電磁界プロジェクト(International EMF Project)の集大成のひとつといえます。それらの全文和訳は入手できますので、参考資料をご覧ください。以下に、両文書から、小児白血病のリスク評価結果に関する記述の核心部分を紹介します。
環境保健クライテリア No.238(WHO クライテリアプログラムについては[▶Ⅵ(1-2)])において、磁界ばく露に関連した小児白血病発症のリスク評価は、第1章「要約と勧告」で簡潔に以下のようにまとめられています。
「日常的な、慢性的な低強度(0.3〜0.4 マイクロテスラ以上)の超低周波数磁界へのばく露が健康リスクを生じるということを示唆する科学的証拠は、小児白血病のリスク上昇についての一貫したパターンを示す疫学研究に基づいています。このハザードの評価における不確かさには、選択バイアスおよびばく露の誤分類が、磁界と小児白血病とに観察された関連性に影響を与えた可能性も含まれます。加えて、事実上すべての実験研究の証拠およびメカニズムに関する証拠は、低レベルの超低周波磁界と生物学的機能または疾患状態の変化との関連を支持していません。ゆえに、全体として、因果関係があると考えるほどには証拠は強くありませんが、関心を残すには十分に強いものです。」
「磁界ばく露と小児白血病との間に因果関係は認められていないものの、政策に有益である可能性をもつ情報を提供するため、仮に因果関係があるとして、考え得る公衆衛生上のインパクトが計算されています。ただし、この計算はばく露分布およびその他の前提条件に強く依存するものであり、非常に不正確です。仮に因果関係であるとすると、磁界ばく露が原因と思われる小児白血病の症例数は全世界で毎年100〜2,400 人と推定されます。これは2000 年に全世界で49,000 人と推定されている小児白血病の年間発症数の0.2〜4.9 パーセントに相当します。ゆえに、地球規模では、公衆衛生上のインパクトは、仮にあったとしても限定的で不確かと思われます。」
ファクトシートNo.322に述べられたこの問題に関するWHOの見解の概要は以下の通りです。
2002年に国際がん研究機関が超低周波磁界を「ヒトに対して発がん性があるかもしれない」と分類したが、これを追認する。
したがって、全体として、小児白血病に関連する証拠は因果関係とみなせるほど強いものではない。
仮に因果関係があるとしてその寄与リスクを試算すると小児白血病発症数の0.2〜4.95パーセントに相当。仮に超低周波磁界が実際に小児白血病のリスクを高めるとしても、公衆衛生上の影響は限定的である。
長期的影響に関しては、超低周波磁界へのばく露と小児白血病との関連についての証拠が弱いことから、ばく露低減によって小児白血病の発症が減少するかどうか不明である。
以上のことから、