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2010年9月に、商用周波磁界と小児白血病に関する最近の研究のプール分析(カイフェッツ等、Br J Cancer 103:1128-113, 2010)が発表されたことはJEIC NEWS No.12「EMFトレンド情報」で紹介しました。
両者との間に一貫した疫学的関連性を示した2000年の2つのプール分析が重要な判断材料となって、2001年国際がん研究機関は商用周波磁界を、「2B:発がん性があるかもしれない」と評価しました。その後、日本の兜論文を含む2つの疫学研究が公表されましたが、2007年のWHOの環境保健クライテリアNo.238では、新しい研究結果を加えても発がん性の評価分類は変わらないとしました。それから3年後、今回の論文の結論も、2Bという評価を変更させるものではないという見解です。
WHOでは、商用周波磁界と小児白血病との関連性は因果関係があるとは言えないとする一方、観察された関連性が因果関係であるならば、ばく露に伴うリスクが報告されているよりも高くなる可能性もあるとも指摘しています。
そこで、日本国内の電力消費量の推移と小児白血病の罹患率を調べてみました。 図をみると、平成15年の電力消費量は昭和50年に比べて2倍以上増えていますが、小児白血病の罹患率は逆に減少しています。この様な経年的な発症率の変化から、ある因子の疾病への寄与リスクを推定するには、その寄与リスクが大きい場合にはある程度有効ですが、日本では磁界の小児白血病への寄与リスクは1%未満と推定されていますので、小児白血病との関連性は否定されたという解釈は間違いです。しかし、大掴みに小児白血病の発症に商用周波磁界が大きく関与していないということを示しているとは言えます。携帯電話の使用が脳腫瘍を招くかもしれないとの懸念から、脳腫瘍の発症率の推移を調べられていますが、同様のことが言えます。