毎日新聞「携帯の電磁波:子どもへの影響は?」(補足説明)
2009年4月21日記事
2009年4月21日の毎日新聞朝刊科学欄の「携帯の電磁波:子どもへの影響は?」の記事のうち、超低周波の健康影響に関する記載内容に関して誤解を生じる可能性がありますので、電磁界情報センターとして下記のように補足させていただきます。
毎日新聞記載内容(関連箇所のみ)
小児白血病倍増 送電線の周波数は50~60ヘルツと超低周波。ただ、浴び続けると白血病の発症頻度が上がることが分かった。 評価書は、0.3~0.4マイクテスラ(テスラは磁界の強さ)以上だと、小児白血病が倍増するという疫学調査結果を認めた。 しかし、動物実験では発がん性が確認されず、関連を示す証拠は強くないと結論付けた。[毎日jp(毎日新聞提供)]
補足
(1)疫学研究について
記事には、『評価書は、0.3~0.4マイクテスラ以上だと、小児白血病が倍増するという疫学調査結果を認めた。』とあります。 「WHOファクトシートNo322」によると、「居住環境での0.3~0.4μt(マイクテスラ)を超える商用周波磁界への平均ばく露に関連して小児白血病が倍増するという、 一貫したパターンが示されています。」とありますが、直後に但し書きとして「疫学的証拠は、潜在的な選択バイアス等の手法上の問題があるために弱められています。 (中略)加えて、大多数の動物実験では影響は示されていません。よって、全体として、小児白血病に関連する証拠は因果関係と見なせるほど強いものではありません。」とあり、 「小児白血病が倍増する」ということが確定したという評価ではありません。
(2)白血病の発症について
記事には、『浴び続けると白血病の発症頻度が上がることが分かった。』とあります。 「WHOファクトシートNo322」によると上記(1)のとおりであり、小児白血病の発症リスクに関してのみ評価したもので、 白血病全般のことを指摘したものではありません。また、現時点で、白血病全般の発症リスクについて科学的証拠を示唆した研究報告はありません。
なお、当センターは、毎日新聞に対して、記事に誤解を招く可能性がある旨を指摘させていただきました。