RRG評価:米国国家毒性プログラム報告書
「ラットでの携帯電話電磁放射発がん研究」【2016.6】

対象論文

報告書タイトル Report of Partial Findings from the National Toxicology Program Carcinogenesis Studies of Cell Phone Radiofrequency Radiation in Hsd: Sprague Dawley® SD rats (Whole Body Exposures). Draft 5-19-2016
[ラット(Hsd: Sprague Dawley® SD rats)における携帯電話無線周波電磁放射(全身ばく露)に関する国家毒性プログラム発がん研究からの知見の一部についての報告]
著者 US National Toxicology Program report. [米国国家毒性プログラム報告書]
掲載学術誌 bioRxiv preprint first posted online May. 26, 2016;
doi: http://dx.doi.org/10.1101/055699

米国国家毒性プログラム(NTP*1)は、米国通信業界で使用されている周波数および変調方式の無線周波電磁放射(RF)に関して、げっ歯類を用いた広範な毒性学および発がんの研究を実施しました。

NTP研究は、RF全身ばく露による潜在的、長期的な健康影響を評価する目的で研究デザインが設計されました。対象はラットおよびマウス、ばく露システムは残響チャンバで、2通りの信号変調方式(CDMAおよびGSM)と2通りの周波数(ラットには900 MHz 、マウスには1900 MHz)を用い、ばく露群の全身SAR計算値を1.5 W/kg、3 W/kg、6 W/kgとして、ばく露は胎仔時から開始し、最長106週間継続しました。

NTPは、2017年末に予定されている研究全体の報告書公表に先立ち、ラットでの研究において、RFばく露を受けた雄に脳および心臓での低い腫瘍発生率が観察されたことについて、研究結果の一部の報告書として2016年5月26日公表しました。

電磁界情報センターでは、学術専門家グループ(Rapid Response Group;RRG*2)から報告書に関する評価を得ましたので、以下に紹介します。

  • NTPは、連邦政府の省庁間プログラムで、保健福祉省(HHS)に属する国立衛生研究所(NIH)の一部である国立環境衛生科学研究所(NIEHS)に本部を置き、公衆衛生に影響を及ぼすかも知れない環境中の物質を同定することで、公衆を保護することを目的としています。
  • RRG:電磁界情報センターが組織する専門家ネットワーク の一部で、海外の専門家からなる科学論文レビューグループ

上記に記載の論文の概要は、電磁界情報データベースで閲覧が可能です。

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