ニュージーランド首相府が5Gに関する文書を発表
2019.12.20掲載
ニュージーランド首相府の主席科学補佐官は2019年12月16日付で、「ニュージーランドにおける5G(第5世代移動通信)」と題する文書を発表しました。
この文書は、5Gネットワークの導入によって得られる潜在的便益、一部の人々が5Gを懸念する理由、環境へのリスクの有無、第4世代移動通信(4G)と5Gとの技術的相違点、等についてまとめています。
この中で、健康影響については以下のように述べています。
「現在入手可能な科学的証拠によれば、電波によってヒトの健康または環境衛生に悪影響が生じる可能性はほとんどありません。 但し、電波とがんとの関連を完全に排除することはできません。これが、ばく露基準が非常にプレコーション的である(precautionary:念のために低くしている)理由です。 ニュージーランドは、ばく露のリスクのモニタを継続し、ばく露が国際的な安全基準の範囲内であることを担保するとともに、新たな研究の詳細な監視を続ける必要があります。
電波が頭痛や集中困難、睡眠障害といった健康へのインパクトを生じるかも知れないと懸念する人々がいます。 短期的研究でも長期的研究でも、これらの、またはその他の健康影響についての決定的な証拠は示されていません。 オーストラリア政府は、こうした懸念に対処するため、個人レベルでのばく露低減方法についてのヒント集を発行しています。 その中には、携帯電話での通話の際にスピーカーモードを使用する、ワイヤレスデバイスの使用時間を減らす、等があります。
ニュージーランドの基準は潜在的ばく露を制限しており、特に新しい基地局を設置する際に、 基地局の近くではこの制限値を超えないことをチェックすることが重要です。 そのため環境省は、新たな鉄塔やアンテナを設置する、建物にアンテナを取り付ける、 既存の構造物に小型の基地局を追加するといった活動をカバーする、追加的な基準を制定しています。 これにより、全ての場所での潜在的ばく露が、安全制限値を大幅に下回ることが担保されています。」
この文書の全文は、以下のウェブサイトから入手可能です。
JEICによる注記
この文書の原文タイトルは "5G in Aotearoa New Zealand" とありますが、この "Aotearoa" は先住民マオリ族の言葉でニュージーランドを指します。同国ではマオリ語は英語と共に公用語とされています。