欧州委員会が5Gについての
よくある質問と回答をウェブサイトに掲載

2020.06.8掲載

欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は、「欧州のデジタルの未来を形作る」と題するウェブサイトに、第5世代移動通信(5G)についてのよくある質問と回答(FAQ)を掲載しました。

このFAQは、5Gについての一般的な質問(Q.1~5)、5Gと電磁界(Q.6~10)、5Gの便益(Q.11~14)で構成されています。このうち、5Gと電磁界についての内容は以下の通りです。

Q.6 一部の市民は5Gと電磁界ばく露を懸念しています。5Gネットワークは更なるばく露を生じるのですか?

回答:一部の人々は、アンテナの増加はばく露の増加を意味すると心配しています。5Gネットワークは電力レベルがより低いスモールセル[訳注:小型基地局]を利用するので、既存の第4世代(4G)ネットワークにおけるラージセル[訳注:大型基地局]よりも電磁界ばく露レベルは低くなります。欧州委員会の最近の研究では、4Gアンテナが既に利用されていて、5Gが今後展開される都市部では、全体的なばく露レベルはやや増加しますが、安全限度(これは健康への影響が生じ得るレベルの50分の1の低さです)より遥かに低い状態が維持されることが示されています。4Gアンテナの利用が終了すれば、ばく露レベルは低くなります。
更に、4Gおよびより古い世代アンテナは、より高い放射電力で運用されていますが、これらのエリアでの利用は減少することが予想されており、一方で新たなスモールセルの大規模ネットワークは、電磁界ばく露の発生源をより低い電力レベルでより均一に展開・配分します。

Q.7 電磁界ばく露についてのEUの規則/見解はどのようなものですか?

回答:欧州連合は、幅広い安全上の余裕のある最大ばく露限度を推奨することによる、念のためのアプローチを取っています。これは、一般公衆に対するEUのばく露限度は、世界保健機関(WHO)の推定によれば、健康影響が見られ始めるであろうとされる放射レベルの50分の1の低さに制定されていることを意味します。EU理事会勧告1999/519/ECでは、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)が1998年に策定したガイドラインと一致する、電磁界への公衆のばく露についての厳格な限度が制定されています。 このばく露限度にはEU加盟国に対する拘束力はありません。但し、欧州電子通信規則はこれを参照し、加盟国に対して一貫性のある適用を確実にすることを求めています。

Q.8 5Gネットワークによって生じる、より高い周波数とは何ですか? それにはリスクがあるのですか?

回答:5Gネットワークからの電磁界ばく露は、新たな周波数帯域で利用されるものを含めて、2G、3Gおよび4Gネットワークと同様に、推奨されている限度以下でなければなりません。 ICNIRPの新ガイドラインが2020年3月に発表されました。ICNIRPは、1998年のガイドラインは無線周波電磁界の現在のアプリケーションに対して防護的であるものの、新たなガイドラインには将来の5G技術が動作する6 GHz超の周波数についての電磁界ばく露も組み込まれている、と述べています。これにより、人が受ける可能性のある局所的なばく露の最大値は低下します。国際的およびEUレベルで現在推奨されている電磁界ばく露に対する限度は、世界保健機関の国際がん研究機関(IARC)によって、5段階の尺度のうち3段階目の「発がん性があるかも知れない」に分類されています。そのようなばく露は、野菜の漬物と同じ「発がん性があるかも知れない」のカテゴリーとされています。これは、2段階目の「おそらく発がん性がある」と評価されている、赤肉[訳注:牛、豚、羊等の哺乳類の肉]を食べること、夜間交代性勤務または熱いコーヒー[訳注:茶を含む熱い飲み物]を飲むことよりもリスクは低く、1段階目の「発がん性がある」に分類されている、大気汚染、木工粉塵またはアルコール飲料よりも更にリスクは低い、と見なされていることを意味します。この分類についての更なる情報は、国際がん研究機関のウェブサイトから入手可能です。

Q.9 ICNIRPは2020年3月に新ガイドラインを発表しました。新ガイドラインに関する欧州委員会の立場はどのようなものですか?

回答:ICNIRPは、1998年のガイドラインには無線周波電磁界の現在の商用アプリケーションが含まれており、新ガイドラインには特に6 GHz超の電磁界周波数について幾つかの重要な追加および変更が組み込まれた、と述べています。将来の5G技術はこの周波数で動作し、それによって人が受ける可能性のある局所的なばく露の最大値は低下します。 欧州委員会は、ICNIRPの新ガイドラインの知見を考慮し、1999年の理事会勧告に関連する状況を再検討します。

Q.10 全ての加盟国には同じ限度が適用されるのですか?

回答:幾つかの加盟国は、[自国の]限度はICNIRPガイドラインまたは理事会勧告において制定されている最大ばく露限度よりも低いレベルとすることが望ましいという決定を下しています。保健防護政策は加盟国の権限であり、加盟国にはより厳格な要求事項を採用する自由があります。欧州委員会は、現在推奨されている限度が公衆衛生の防護に対して適切であるということを、今でも確信しています。

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