オーストラリア放射線防護・原子力安全庁(ARPANSA)が
電波の非熱作用の証拠はないとのレビュー結果を発表
2020.12.04掲載
オーストラリア放射線防護・原子力安全庁(ARPANSA)は2020年12月2日付で、電波と身体内のカルシウムの移動について同国のスウィンバーン工科大学と共同で実施したレビューの結果、電波が非熱的な健康影響を生じることを示す証拠は見つからなかった、と発表しました。
このレビューは、第5世代移動通信(5G)システムの導入以来、幅広い関心を集めている電波と健康についてのARPANSAの現在進行中の研究および評価の一環として、世界中からの69件の研究に焦点を当てて実施されました。
電波の健康影響評価担当の副部長であるKen Karipidis博士は、次のように述べています。
「電波によって生じるかもしれない細胞のカルシウムレベルへの影響については50年間も研究が行われてきましたが、レビュー対象の研究のいずれも、電波ばく露がカルシウムの移動に影響を及ぼす、または非熱的な健康影響を生じるという主張を検証することはできませんでした。このレビューの結果は、電波がカルシウムの移動や電位依存性カルシウムチャネルと干渉するという理論に対し、科学的証拠による支持は得られていない、ということを証明しています。」
このレビューは、研究のデザイン、品質、再現可能性についても着目し、この分野における今後の研究のための改善点を示唆しています。
このレビュー論文は査読付き専門誌 Radiation Research の2021年1月号に掲載予定です。このレビューについての報道発表、ならびに論文の概要は、それぞれ以下のURLから入手可能です。