スイス連邦環境庁(FOEN)に対する諮問グループが
電磁界による酸化ストレスへの影響についてのレビュー結果を公表
2021.1.25掲載
スイス連邦環境庁(FOEN)に対する諮問グループ「電磁界及び非電離放射線に関する専門家グループ(BERNIS)」は2021年1月21日付で、「電磁界による酸化ストレスについての証拠はあるでしょうか?」と題するレビュー結果の要約版を公表しました。
BERENISは、電磁界の生物学的影響および健康影響についての最新の研究論文等のレビューを実施し、その取りまとめ結果を四半期ごとにニュースレターとして公表しています。今回は酸化ストレスについての特別号として、電磁界ばく露との間にあるかもしれない相関関係を評価するため、2010-2020年に発表された関連する実験研究および細胞研究についての論文・報告20編を同定・要約しています。
この要約版の結論は以下のとおりです。
[同定された]動物研究の大多数、ならびに細胞研究の大半で、無線周波(RF)電磁界または超低周波(ELF)磁界による酸化ストレスの増加についての証拠が示されています。これは、適用したばく露時間およびばく露量(比吸収率(SAR)または磁界強度)が異なる、また規制限度の範囲内の、多くの種類の細胞での観察に基づいています。一部の研究には手法上の不確かさや弱点があり、例えばばく露時間、ばく露量、バイオマーカーの数および定量的分析が必ずしも十分ではありませんでした。但し、これらの手法上の弱点を考慮しても、電磁界はたとえそのばく露量が低い範囲であっても、酸化バランスの変化につながり得る、という傾向が明らかになりました。生物および細胞は一般的に、酸化ストレスに反応する能力があり、多くの研究で電磁界ばく露に対する回復段階後の適応が示されています。免疫欠損や病気(糖尿病、神経変性疾患)といった既存の条件は、抗酸化防護を含む身体の防御機構を損なうことから、そのような条件のある人々は、より深刻な健康影響を受ける可能性があります。加えて、幼い人々や高齢の人々は、電磁界による酸化ストレスに対してさほど効率的に反応できないことが、研究で示されています。このことは当然ながら、酸化ストレスを生じる他のストレス因子にも適用されます。これらの現象や観察結果をより良く理解し、確認するため、標準化された条件下での、より大規模な研究が必要です。
この要約版は、FOENの以下のURLから入手可能です。
このレビュー結果の詳細な報告書も、こちらに掲載される予定です。