国際がん研究機関(IARC)が
発がんハザードの同定についての
ウェブサイトを更新(Volumes 1-132)
2022.7.4掲載
世界保健機関(WHO)の専門機関である国際がん研究機関(IARC)は、
2022年7月1日付で「ヒトに対する発がんハザードの同定についてのIARCモノグラフ」のウェブサイトの「IARCモノグラフで分類された因子、Vol.1-132」のページ
https://monographs.iarc.who.int/agents-classified-by-the-iarc/
を更新しました。
これは、「IARCモノグラフVol.132:消防士としての職業ばく露」の概要版の発表に伴うものです。
消防士は様々な種類の火災(例:建物火災、森林火災、車両火災)および火災以外の事案(例:交通事故、医療事故、危険物の放出、建物の倒壊)に対処するため、燃焼生成物(例:多環式芳香族炭化水素、微粒子)、消火剤中の化学物質、難燃剤、ディーゼル排ガス、建材、およびその他のハザード(夜間交代制勤務、紫外線等)にばく露される可能性があります。
IARCの作業部会は、消防士としての職業ばく露には中皮腫および膀胱がんを生じるという「ヒトにおける発がん性の十分な証拠」があるとして、このばく露を「ヒトに対して発がん性がある(グループ1)」に分類しました。また、このばく露には、結腸、前立腺、精巣のがん、皮膚の悪性黒色腫、および非ホジキンリンパ腫についての「ヒトにおける限定的な証拠」、更には、ばく露されたヒトにおける発がん性物質の複数の重要な特徴があるという「強いメカニズム的証拠」があることも指摘しています。
モノグラフVol.132についての情報は、以下のウェブサイトから入手可能です。
なお、電磁界に関する発がんハザードの分類の変更はありません。
JEICによる注記
IARCは、化学物質や喫煙などによって及ぼされる発がんハザードの同定のための調査・研究と、がん対策を推進する機関です。
IARCによる発がんハザードの同定は、対象となる作用因子、例えば、物理的因子、化学的因子、特殊な環境因子等による定性的な評価(発がんハザードの証拠の確かさの程度)をグループ別に分類するものであり、定量的な評価(発がん性の強さ)をするものではありません。