欧州委員会の科学諮問機関SCHEERが
高周波電磁界についての科学的証拠に関する「予備的意見書」に対する公開協議を開始

2022.8.23掲載

欧州委員会(欧州連合(EU)の執行機関)に対する科学諮問機関の一つである「保健・環境・新興リスクについての科学委員会(SCHEER)」は2022年8月22日付で、「勧告1999/519/ECおよび指令2013/35/EUにおける付属書の改定の必要性についての予備的意見書」に対する公開協議を開始しました。

この「予備的意見書」は、SCHEERが欧州委員会の要請を受け、高周波電磁界(RF、100 kHzから300 GHzまで)に関する入手可能な最新の科学的証拠に照らして作成したものです。

SCHEERは「予備的意見書」で次のように述べています。

「SCHEERは、勧告1999/519/ECおよび指令2013/35/EUの付属書に規定されている限度値よりも低いレベルでの慢性または急性のRF電磁界ばく露による健康への悪影響について、中程度の、または強いレベルの証拠を同定できませんでした。

SCHEERは、RF電磁界に関する理事会勧告1999/519/ECおよび指令2013/35/EUにおける付属書の技術的改定の必要性について前向きに助言します。これは、最近導入されたドシメトリ量[訳注:ばく露評価のための物理量]を認識し、それらに対する限度値を確立する必要があるためです。」

SCHEERは、この「予備的意見書」に対する科学界および利害関係者からの科学的コメントを募集しています。コメント提出期限は2022年9月25日です。

SCHEERの「予備的意見書」の原文、ならびにコメント提出方法等の更なる情報は、SCHEERの以下のURLから入手可能です。

JEICによる注記

EUでは、電磁界ばく露を制限する枠組みとして以下のものが制定されています。

  • 勧告1999/519/EC:1999年に制定、一般公衆が対象、法的拘束力なし(実際の法規制は加盟各国の政府が対応)、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)の1998年のガイドライン(0 Hzから300 GHzまで)に準拠
  • 指令2013/35/EU:2013年に制定、労働者が対象、法的拘束力あり(加盟各国に対する最低限の要求事項を規定)、ICNIRPの1998年のガイドラインのRFに関する部分(100 kHzから300 GHzまで)および2010年のガイドライン(低周波:1 Hzから100 kHzまで)に準拠

一方、ICNIRPは2020年にRFガイドラインを改定しました。

今回の「予備的意見書」では、上述の勧告および指令のRFに関する付属書(ICNIRPの1998年のガイドラインに準拠して具体的な限度値を記述した部分)を、特に、利用が拡大しているミリ波領域について、ICNIRPの2020年のRFガイドラインに準拠して改定すべきかどうかを、最新の科学的知見に照らして検討しています。

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