米国食品医薬品局(FDA)が国際がん研究機関(IARC)の無線周波電磁界2B分類に関する見解を発表

2011.7.19掲載

≪米国食品医薬品局(FDA)が国際がん研究機関(IARC)の無線周波電磁界2B分類に関する見解を発表≫

米国食品医薬品局(FDA)は、2011年6月24日、FDAのウェブサイト上で、2011年5月に国際がん研究機関(IARC)が発表した携帯電話などで使用する無線周波数電磁界の発がん性評価結果に関するFDAの見解を公開しました。その概要を紹介します。

○米国食品医薬品局(FDA)ウェブサイト

携帯電話-最新の研究結果
http://www.fda.gov/Radiation-EmittingProducts/RadiationEmittingProductsandProcedures/HomeBusinessandEntertainment/CellPhones/ucm116335.htm

○発表内容の概要

最新の研究結果

健康問題と携帯電話を使用することによる無線周波電磁界へのばく露との間に関係はあるのだろうか?
これまでに行われた大部分の研究の結果は、それが無いことを示している。さらに言えば、関係を示した極めて少数の研究を再現および確認する試みは失敗に終わっている。
現時点でのデータにしたがって、FDAは、科学的証拠の重みは、携帯電話からの無線周波電磁界へのばく露と有害な健康影響との間の関連を示していないと信じる。それでも、長期にわたる携帯電話の使用の影響や小児の集団への影響など、これまでに情報がない部分に取り組むため、追加的研究が是認されることは合意されている。

世界保健機関の国際がん研究機関は、2011年5月31日、無線周波電磁界を「ヒトに対して発がん性があるかも知れない」に分類した。
国際がん研究機関(IARC)は、モノグラフプログラムを通して、ヒトのがんのリスクを上昇させ得る環境要因を探し出して同定する。環境要因の分類には5つのカテゴリーが用いられる。
IARCは、この2B分類について、無線周波電磁界のヒトでの発がん性の限定的証拠、および実験動物での発がん性の十分とまでは行かない証拠があることを意味すると説明している。
FDAは、無線周波電磁界へのばく露における研究の進展の監視を継続する。

重要な進行中の研究

携帯電話使用者についての国際コホート研究(COSMOS)
携帯電話からの無線周波電磁界エネルギーの長期間ばく露と結びつく健康問題があるかどうかを明らかにするために、大規模な人口集団の長期的な健康モニタリングを行うことを目的とする。欧州の成人の携帯電話使用者約30万人を20-30年間、追跡予定。

小児および思春期層における無線周波電磁界のばく露による脳腫瘍のリスク(MOBI-KIDS)
携帯電話を含む通信技術からの無線周波電磁界エネルギーのばく露と若年者における脳腫瘍との関連を調べる国際研究。欧州および欧州以外の14ヶ国が参加する、複数の研究センター方式。

米国国立がん研究所(NCI)によるサーベイランス、疫学、および最終結果(SEER)プログラム
NCIのSEERプログラムは、米国のがん統計を積極的に追跡している。もし携帯電話が脳腫瘍のリスクを上昇させる役割を果たすならば、発生率の上昇が期待される。しかし、1987年から2008年の間、米国で携帯電話のヘビーな使用が急激に増えたにも係わらず、脳腫瘍の全体的な年齢調整発生率は上昇しなかった。

携帯電話産業のアクション
現在の科学的データは、FDAの携帯電話の規制の変更を支持しないものの、FDAは携帯電話産業に以下のいくつかの手段を講じるように促した。

  • 携帯電話が放射する信号のタイプの無線周波電磁界の生物学的影響の可能性に関する追加的な研究の支援
  • 使用者への無線周波電磁界のばく露を最少化することによる携帯電話設計の改善
  • 無線周波電磁界へのばく露により生じる健康上の懸念に関する最新の科学的情報を携帯電話使用者に提供するための協力

安全基準
FDAは、安全基準が公衆を適切に防護し続けることを確実にするために、米国電気電子学会(IEEE)、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)、その他の自主的基準設定機関とともに活動している。  

電磁界情報センターでは、電磁波(電磁界)への不安や疑問に対して正確な情報をお伝えし、
多くの方々に電磁波に対する理解を深めていただきたいと考えています。

情報発信

当センターでは皆様に正しい情報をお届けするためにニューズレターの発行やメールマガジンなどを配信しています。

広報ツール・出版物
情報発信へ

お問い合わせ

電磁波や当センターの活動に関するお問い合わせ・ご質問・ご要望を受け付けております。

お問い合わせ
お問い合わせへ