ニュージーランド保健省から公表された携帯電話の安全性に関する情報シートの紹介について

2011.8.25掲載

≪ニュージーランド保健省から公開された携帯電話の安全性に関する情報シートの紹介について≫

2011年6月21日付で、ニュージーランド保健省は携帯電話の安全性に関する情報シートを公表しました。その概要をご紹介します。

ニュージーランド保健省国立放射線研究所 2011年6月21日付情報シート
「携帯電話の安全性」
原文タイトル:Safety of cellphones
URL:http://www.nrl.moh.govt.nz/publications/is21.pdf

【概要】
携帯電話の安全性

携帯電話は安全でしょうか?

現在までの研究で得られた証拠を比較考量すれば、携帯電話が国際的なガイドラインを遵守している限り、携帯電話が発生する無線周波電磁界へのばく露が健康問題の原因となることはないことが示されています。50年以上にわたって行われてきた全ての研究がレビューされていますが、何らかの有害な影響について説得力のある証拠は見出されていません。

 ニュージーランドで販売されている携帯電話によって生じるばく露は全て、ニュージーランド国の関連基準が推奨する限度値を遵守しています。この基準は、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)が公表した国際ばく露ガイドラインに基づいたものです。

 携帯電話の使用者は、ばく露が限度値を満たすことを確保するために、携帯電話と身体との間の最小限の距離について、使用者マニュアルの安全のための取扱説明書に注意を払いましょう。

携帯電話を使用すると脳腫瘍のリスクが高まるのでしょうか?

全般的に言って、研究では10年間までの携帯電話の使用期間の人で脳腫瘍のリスクが上昇することは示されていません。それよりさらに長い期間の使用者に対する影響についての情報は少ないです。いくつかの研究は、ヘビーな使用者でリスクの小さな上昇があるかも知れないことを示唆していますが、他方、このようなパターンは一貫しておらず、研究者達はこれらの知見は調査の実施過程で生じたバイアスによって説明されるかも知れないと注意を促しています。培養細胞および生涯ばく露を受けた動物に関する実験研究は、腫瘍の発症に対する無線周波電磁界の影響の存在を十分に裏付けておらず、また、携帯電話の当初の導入以降に脳腫瘍の発症率が上昇しているという徴候は見られていません。

 国際がん研究機関(IARC)は2011年5月に研究データのレビューを行い、ヘビーな使用者におけるリスク上昇を示唆した研究を考慮し、携帯電話を「発がん性があるかも知れない」に分類することを決定しました。この分類は、リスクが確立されたという意味ではなく、リスクがあるかも知れないことを示唆するデータが存在するという意味です。「発がん性があるかも知れない」に属する因子には、この他に自動車の排気ガス、コーヒー、漬物(野菜のピクルス)があります。

私は自分のばく露を減らすべきなのでしょうか?

携帯電話によるリスクは明らかに示されてはいませんが、他方、(無線周波数電磁界についても、またその他のどのような要因についても)安全性を証明することは不可能であり、また、IARCの決定は、いくつかの研究知見が示す不確かな意味を取り上げ、注目しています。もし各人が自分のばく露を減らしたいと思う場合は、以下のような簡単な方法で行うことができます。

より新しいCDMA/XTまたは第3世代(UMTS)の技術を用いた携帯電話を使用すること。これらは一般に、その前の世代の電話に比べ、非常に低い出力で送信を行います。
ハンズフリーキットまたはスピーカーフォンを使用すること。身体のあらゆる部位へのばく露を減らすため、通話時は電話を身体から離しておきましょう。
通話時間を最小限にすること。
従来の固定電話(コードレスではないもの)、または外付けアンテナのカーキットを使用すること。

自動車の運転中に携帯電話(たとえハンズフリーキットであっても)を使用することは推奨されません。その理由は、それにより事故のリスクが大きく上昇することが研究で一貫して実証されているからです。運転中に携帯電話を手に持って通話することは違法です。

子供にとって携帯電話の使用は安全ですか?

ニュージーランド国のばく露基準の限度値は、全ての年齢層に対して防護を提供するように設定されています。携帯電話による頭部のばく露の最大値は子供も成人も同じです。しかし、子供の頭部は成人より小さいため、携帯電話に最も接近する脳の部位でのばく露は成人より高くなる傾向があります。未だ発見されていない何らかの僅かな影響がもしあれば、子供は生涯ばく露の期間が長い上に神経系が発達中であるために、より影響を受け易いかも知れないと考えられます。子供に対するばく露の影響に限定した研究は殆ど行われていませんが、これまでに実施された研究(反応時間およびその他の認知への影響に関する研究)では影響は何も実証されていません。
子供の携帯電話使用は、情報を得た両親の選択に係わる問題です。

ハンズフリーキットまたはその他の付属装置の使用でばく露は減りますか?

試験の結果、ハンズフリーキットは一般的に頭部へのばく露を最大98%まで低減することが示されています。
貼付用のパッドまたは当て布でばく露を低減することが示されたものはありません。

携帯電話によるばく露に関する情報はどのように入手できますか?

携帯電話によるばく露は比吸収率(通常はSARと略称)として、キログラム当たりのワット(W/Kg)で測定されます。これで示された数字は無線周波エネルギーが身体に吸収される比率を表します。通常、SARの最大値が携帯電話使用者マニュアルに書かれています。また、製造者からも情報を入手できます。ニュージーランド国のばく露基準では、身体の組織のどこの10gにおいても最大SARレベルの許容値は2 W/kgです。
SARの最大値は携帯電話を購入する際に考慮すべき一つの点でしょう。しかし、携帯電話は信号強度が良好または中程度の地域において出力を自動的に低下させるため、SARの最大値は実際の使用におけるばく露の様相を十分に表現するものではありません。ばく露が低減される量は、携帯電話の機種、採用されている技術、携帯電話が接続されるネットワークによって変動する可能性があります。

使用してない時に携帯電話は送信を行いますか?

いいえ。携帯電話ネットワークへの登録を維持するため1時間に数回、非常に短時間の送信を行いますが、それ以外はあなたが通話しない限り、携帯電話が送信を行うことはありません。

上記の情報は、後日電磁界情報データベースにも登録予定です。

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