オランダ保健評議会(HCN)からの「小児白血病と環境因子」に関する発表
2012.12.10掲載
○オランダ保健評議会(HCN)からの「小児白血病と環境因子」に関する発表
オランダ保健評議会(HCN)は2012年12月6日付けで、「小児白血病における環境因子の係わりについての限定的な証拠」と題する報道発表を行いました。
これは、欧州保健科学諮問ネットワーク(EuSANH)の枠組みの中でオランダ保健評議会(HCN)とベルギー上級保健評議会が共同した報告書「小児白血病と環境因子」の概要を公表したものです。
この報告書では、電磁界を含め多数の環境因子について小児白血病との関連を評価した結果を示しています。
電磁界情報センターでは、報道発表の概要を作成しましたので、紹介します。
報道発表の内容は、下記のURLで確認できます。不明な点は、原文をご参照ください。
URL:http://www.gezondheidsraad.nl/sites/default/files/PressReleasechildhoodleukaemia201233.pdf
また、報告書「小児白血病と環境因子」は、下記のURLで確認できます。
URL:http://www.gezondheidsraad.nl/sites/default/files/201233ChildhoodLeukeamia.pdf
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= 報道発表の概要 =
【経緯と報告書の結論】
小児白血病の発症に環境因子がどのように係わるかは長年の問題であり、欧州保健科学諮問ネットワーク(EuSANH)の枠組みの中でオランダ保健評議会(HCN)とベルギー上級保健評議会は共同して、可能性のある環境因子に関する科学的知識の広範な評価作業を実施しました。その評価結果から小児白血病との因果関係を示す証拠は全般として限定的であることが示されたと述べています。また遺伝的感受性と(自然および人為的な)環境との間の複雑な相互作用を考慮し、今回の評価結果を勘案すれば、防護措置の可能性も限定的になると述べ、白血病の大部分の症例の原因を明らかにすることはおそらく不可能と思われること、可能性のある防護措置は非常に少ないと結論しています。
【主な評価結果と防護措置】
電離放射線のみ、小児白血病との関連は“確立された”に分類されています。ラドンを除き、自然放射線へのばく露は低減できませんが、人為的放射線ばく露は低減できます。医学診断の場では、特に幼児や妊婦において、リスクと利益の比較考量に一層注意することが求められます。
ベンゼンへのばく露との関連は“可能性あり(likely)”、両親の喫煙、殺虫剤および特定の他の化学物質(PCBなど)へのばく露との関連は“可能性あり”と考えられています。このため、職場や家庭での妊婦へのばく露や子供へのばく露に的を絞って、これらのばく露を一層低減する努力は正当なものです。
この他に、母乳の授乳および保育園通園または他の幼児達との接触との関連が“可能性あり”と考えられています。
その他の調査された全ての環境因子(高圧送電線近辺の電磁界を含む)については、小児白血病との関連の見込みは、“かも知れない(possible)”、“不確か(uncertain)”、“不明(unknown)”に分類されました。
【今後の展望】
国別では両親の数が少ないために環境因子と小児白血病の関連を確実に証明することが不可能なので、国際研究が一層必要である;殺虫剤ばく露、超音波への頻繁なばく露など特定のリスクおよびばく露の蓄積とリスクについての研究が求められる、と述べています。