スウェーデン放射線安全庁(SSM)の電磁界に関する科学評議会からの報告書

2014.5.29掲載

スウェーデン放射線安全庁(SSM)の「電磁界に関する科学評議会」は、電磁界(EMF)の健康影響に関する現在の研究及び知識の状況についての第9回目の年間報告を公表しました。
この科学評議会は、研究状況をモニターし、リスクの評価・認定・最適化についてSSMに助言を与えています。本報告は、2013年9月までに公表された、EMF(静磁界、低周波・中間周波・高周波電磁界)の研究(生物学的研究、ヒト研究および疫学研究)をカバーし、特に下記の4つの重要課題について最新情報を要約しています。

重要課題とその結論の要約を紹介します。

  • 超低周波(ELF)磁界と小児白血病ならびに他の健康リスク
  • IARCは、ELF磁界と小児白血病の関連を示した疫学研究の結果に基づき、ELF磁界を「ヒトに対して発がん性があるかも知れない」に分類したが、実験研究、メカニズム研究でこの関連の確証が得られず、両者に何らかの関連があるのか否かは未解決のままである。ELF磁界ばく露に関連したアルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症のリスク上昇の可能性について、主に職業研究で若干の示唆が報告されている。
  • 携帯電話使用による影響
  • IARCは、携帯電話使用に関連した神経膠腫および聴神経鞘腫のリスク上昇を示した疫学研究の結果に基づき、無線周波(RF)電磁界を「ヒトに対して発がん性があるかも知れない」に分類したが、SSMは前回報告書で、「スウェーデンおよび諸国のがん統計研究から、携帯電話使用が成人頭部腫瘍の発症に関連した推移を示していることは確認できない」と結論した。最新情報を加えてもこの結論に変更はない。ただし、15年以上の長期使用については不確かさが残っている。また小児および思春期層の脳腫瘍リスクに関して結論を出すのは時期尚早であるが、今日までの情報はリスク上昇を示していない。
  • 送信機による健康リスク
  • 携帯電話基地局、ラジオおよびテレビの送信機、学校および家庭の無線データネットワークからのRF電磁界ばく露に関係するような一般公衆の健康リスクの示唆は、前回報告書と同様、新しい研究でも示されていない。
  • 自己申告されている電磁過敏症
  • 電磁界ばく露が自覚的電磁過敏症(EHS)の原因である証拠はこれまでの研究で一切示されていない。いくつかの研究がノセボ効果を示唆している。前回報告書以降、EHSの原因に関する新たな研究は殆どない。

公表された文書は、下記URLで確認することができます。不明な点は、原文をご参照ください。

URL:http://www.stralsakerhetsmyndigheten.se/Global/Publikationer/Rapport/Stralskydd/2014/SSM-Rapport-2014-16.pdf

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