スウェーデン放射線安全庁(SSM)が「電磁界と健康リスクについての最近の研究」に関する第17次報告書を発表

2024.4.1掲載

スウェーデン放射線安全庁(SSM)は、「電磁界と健康リスクについての最近の研究‐SSMの電磁界に関する科学評議会からの第17次報告書」を発表しました。

同評議会は、電磁界ばく露に関連する潜在的健康リスクについての現行の研究を監視し、あるかもしれない健康リスクの評価についてSSMに助言を提示しています。科学的検証が必要な政策事案についてSSMが提言を示さなければならない場合、同評議会は助言を提示します。同評議会には、現行の研究および知識の状況について、書面での報告書の提出が毎年求められています。

この報告書は合意に基づくもので、同評議会の全てのメンバーが報告書全体に合意しています。

この報告書は、電磁界と健康に関する分野における前年の研究をカバーするとともに、これを知識の現状に照らして整理することも主な目的としています。

この報告書は一連の報告書の17番目のもので、2021年1月から同年12月までに発表された、電磁界と健康リスクについての研究をレビューし、関連する新たな研究を検討・評価し、入手可能な情報の文脈で整理しています。この報告書は、異なる周波数領域(静的、低周波、中間周波、高周波)および異なる種類の研究(生物学、ヒトおよび疫学研究)をカバーしています。

この報告書の要点は以下の通りです。

  • 電磁界ばく露と健康リスクについて新たに確立された因果関係は同定されていません。
  • この報告書で示した研究は、疫学研究において超低周波(ELF)磁界ばく露と小児白血病との間に一貫して観察されている関連が、因果関係なのかどうかを解決していません。
  • 脳腫瘍と携帯電話使用についての新たな研究は、リスクがほとんどないことを示唆している先行研究と整合しています。甲状腺は携帯電話通話時に潜在的に高ばく露されますが、甲状腺がんについての研究はこれまでほとんど実施されていません。
  • 動物についての研究に関しては、特定の状況下で実験動物にRF電磁界ばく露による幾つかの影響が観察されたこと以外には、全体的な結論を導くことは困難です。以前のSSM報告書で報告された酸化ストレスの上昇についての観察は今回も認められ、中には現行の参考レベル未満で生じたものもありました。酸化ストレスは自然の生物学的プロセスの一つで、病因に関与する可能性もありますが、どのような状況下で弱い電波による酸化ストレスがヒトの健康に影響を及ぼし得るかについては、依然として調査が必要です。
  • 直流または交流の電磁界への単独ばく露の場合よりも、複合ばく露条件の方が認知閾値が低いということが、新たな研究で明らかにされたことは特筆に値します。
  • 中間周波(IF)範囲の電磁スペクトル(300 Hzから10 MHz)における応用技術の利用が増加しているものの、この周波数範囲での瀬在的健康リスクの科学的評価はほとんどありません。但し、同評議会が同定したこの分野における少数の研究は、現行の参考レベル未満での健康影響を何ら示していません。

この年次報告書には、質が十分ではない研究分野の一覧表を示したセクションもあります。今年も昨年と同様、多くの研究が質の低さのために除外されました。科学的観点からは、質の低い研究は重要ではありません。それは資金、人材、そして多くの場合は実験動物の無駄でもあります。

この報告書の原文および関連する報道発表は、以下のURLから確認できます。
https://www.stralsakerhetsmyndigheten.se/en/publications/reports/radiation-protection/2024/202405/

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