国際がん研究機関(IARC)が発がんハザードの同定についてのウェブサイトを更新(Volumes 1-138)

2025.3.26掲載

世界保健機関(WHO)の専門機関である国際がん研究機関(IARC)は、2025年3月21日付で「ヒトに対する発がんハザードの同定についてのIARCモノグラフ」のウェブサイトの「IARCモノグラフで分類された因子」のページを更新しました。
https://monographs.iarc.who.int/agents-classified-by-the-iarc/

これは、「IARCモノグラフ Vol. 138:自動車用ガソリンおよび一部の酸素化ガソリン添加物」の概要版の発表に伴うものです。
【JEICによる注記:2025年3月25日の時点で、同ウェブページの表題は ” Agents Classified by the IARC Monographs, Volumes 1–137” のままとなっています。】

市販品の自動車用ガソリンは主に内燃機関の燃料として用いられる複雑な化合物です。メチル tert-ブチルエーテル(MTBE)、エチル tert-ブチルエーテル(ETBE)、tert-ブチルアルコール(TBA)、ジイソプロピルエーテル(DIPE)および tert-アミルメチルエーテル(TAME)は、ガソリンの燃焼効率を高めるために酸素添加物として用いられる揮発性化合物であり、有鉛ガソリンが禁止されてからはより一般的になりました。

IARCの作業部会は、ヒトにおけるがんの「十分な」証拠、ならびに、実験動物におけるがんの「十分な」証拠、およびばく露されたヒトにおける「強力な」メカニズムの証拠の組み合わせに基づき、自動車用ガソリンを「ヒトに対して発がん性がある」(グループ1)と評価しました。自動車用ガソリンは、成人の膀胱がんおよび急性骨髄性白血病を生じます。自動車用ガソリンと小児の急性リンパ性白血病、成人の非ホジキンリンパ腫(慢性リンパ性白血病を含む)、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、胃がんおよび腎臓がんとの因果関係を示す証拠は「限定的」でした。

MTBE と ETBE は、実験動物におけるがんの「十分な」証拠に基づき、どちらも「ヒトに対して発がん性があるかもしれない」(グループ2B)と分類されました。TBA、DIPE、および TAME は、それぞれ「ヒトに対する発がん性を分類できない」(グループ 3)と評価されました。これら全ての酸素化ガソリン添加剤について、ヒトに対するがんに関する証拠は「不十分」でした。

モノグラフ Vol. 138についての詳細な情報は、以下のウェブサイトから入手可能です。
https://www.iarc.who.int/news-events/iarc-monographs-evaluation-of-the-carcinogenicity-of-automotive-gasoline-and-some-oxygenated-gasoline-additives/

なお、電磁界に関する発がんハザードの分類の変更はありません。

JEICによる注記

IARCは、化学物質や喫煙などに起因する発がんハザードの同定のための調査・研究と、がん対策を推進する機関です。

IARCによる発がんハザードの同定は、対象となる作用因子、例えば、物理的因子、化学的因子、特殊な環境因子等による定性的な評価(発がんハザードの証拠の確かさの程度)をグループ別に分類するものであり、定量的な評価(発がん性の強さ)をするものではありません。

IARCについての更に詳しい情報は、こちらをご覧下さい。
https://www.jeic-emf.jp/academic/international/iarc/

電磁界情報センターでは、電磁波(電磁界)への不安や疑問に対して正確な情報をお伝えし、
多くの方々に電磁波に対する理解を深めていただきたいと考えています。

情報発信

当センターでは皆様に正しい情報をお届けするためにニューズレターの発行やメールマガジンなどを配信しています。

広報ツール・出版物
情報発信へ

お問い合わせ

電磁波や当センターの活動に関するお問い合わせ・ご質問・ご要望を受け付けております。

お問い合わせ
お問い合わせへ