米国保健福祉省(HHS)国家毒性学プログラム(NTP) 「携帯電話」

2016.5.30掲載

国家毒性学プログラム(NTP)は、携帯電話電波からの潜在的健康ハザードについて、ラット及びマウスでの
実験を実施してきました。NTPは2016年5月27日、幾つかの重要な研究の知見の報告を発表しました。

<ダイジェスト>

  • NTPに携帯電話電波の研究を推薦したのは、食品医薬品局(FDA)です。
  • この研究は、NTPがこれまでに実施した最大の、最も複雑な研究です。この研究の費用は2500万ドル(約27.6億円)です。
  • この研究では、米国において携帯電話通信に現在用いられている周波数及び変調にラット及びマウスをばく露しました。これらのげっ歯類を10分間オン、10分間オフ、合計で9時間超/日、妊娠中から2歳までばく露しました。
  • NTPは、雄のラットの脳及び心臓で低い腫瘍発生率を見つけましたが、雌のラットでは見つけませんでした。
    マウスでの研究は継続中です。
  • NTPは、これらの知見を連邦の規制パートナーに提供し、携帯電話及びその他の電波放射機器の安全な使用方法についての公衆衛生ガイダンスのための最新情報を彼らが利用できるようにしました。
  • また、NTPはこの知見を公衆にも提供しました。報告は http://dx.doi.org/10.1101/055699 に掲載されています。
  • ・ラット及びマウスの全ての研究の完全な結果は、2017年末までに査読及びパブリックコメント用に入手できるようになる予定です。
  • 以前に収集された観察データの、ヒト集団に基づく先行研究では、携帯電話使用からのがん発症のリスク上昇について限定的な証拠が認められています。
  • FDAのウェブサイト(http://www.fda.gov/Radiation-EmittingProducts/RadiationEmittingProductsand
     Procedures/HomeBusinessandEntertainment/CellPhones/ucm116293.htm)では、携帯電話を使用する時間を
    減らすことや、携帯電話と自身の頭部との間隔をより大きくするためにスピーカーモードやヘッドセット
    (イヤホンマイク)を使用することといった、携帯電話使用時にばく露を最小にするために人々が取り得る
    幾つかの対策を提示しています。携帯電話の安全性についての更なる情報は、FDAのウェブサイトから入手
    できます。

※ NTPは、連邦政府の省庁間プログラムで、保健福祉省(HHS)に属する国立衛生研究所(NIH)の一部である
国立環境衛生科学研究所(NIEHS)に本部を置き、公衆衛生に影響を及ぼすかも知れない環境中の物質を同定
することで、公衆を保護することを目的としています。

発行元:U.S. Department of Health and Human Services. National Toxicology Program
原文タイトル:Cell Phones
URL:http://ntp.niehs.nih.gov/results/areas/cellphones/index.html

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