オーストラリア放射線防護・原子力安全庁(ARPANSA)が報告書「無線周波電磁界:研究ニーズ」を発表

2017.6.20掲載

オーストラリア放射線防護・原子力安全庁(ARPANSA)は、「無線周波(RF)電磁エネルギー(EME)と健康:研究
ニーズ」と題する報告書を発表しました。
この報告書は、「現時点では、オーストラリアのRF基準の安全限度より低いレベルのRF EME
へのばく露が何らかの健康影響を生じるという、確立された証拠はありません。但し、更なる研究を要する知識の欠落
があります」と指摘して、以下の研究を推奨しています。

疫学
1.携帯電話使用に関連したRF EMEの長期的な影響を調査する成人での前向きコホート研究
2.携帯電話使用と脳腫瘍のタイプおよびサブタイプについての時間的傾向性を調査する進行中の
 生態学的研究(10年超の潜伏期間の調査を含む)
3.RF EMEばく露と各種のアウトカム(がん、行動障害および神経障害を含む)を調査する子ども
 および思春期層の前向きコホート研究

ヒト研究
4.改善された手法(適切なサンプルサイズ、事前に定義されたばく露および分析プロトコル、ならびに
 各種の人口集団を含む)を用いた、神経生理学的影響についての更なる誘発研究

動物研究
5.携帯電話のRF EMEばく露ががんをプロモートするかどうかを調べる動物研究
6.がん以外のアウトカム(発達および行動、神経変性および雌性の生殖能を含む)を調べる、良く
 デザインされた(詳細なドシメトリを組み込んだ、良く特徴付けられたばく露装置を含む)更なる
 動物研究

細胞研究
7.細胞機能およびDNA損傷に対するRF EMEの影響を報告しているイン・ビトロ研究の再現研究

ばく露評価およびドシメトリ
8.新技術および新興技術からのRF EME
 への個人ばく露および環境ばく露についての進行中の評価(複数の発生源からのばく露全体、および
 ばく露の経時変化を含む)
9.疫学研究および実験研究におけるRF EMEばく露の特徴付けについての進行中の研究
10.シメトリ手法の進展に基づいた、オーストラリアのRF基準における適切な限度値の策定についての
 進行中の研究

特別な研究分野
11.電磁過敏症の病因の理解と、この病状に苛まれている人々の効果的な治療を提供する方法の発見を目的
 とする研究
12.ミリ波についての研究(潜在的ハザードおよびオーストラリアのRF基準における現行の限度値の妥当性
 の調査を含む)
13.RFリスク認知およびコミュニケーションについての研究の継続(WHOの2010年の研究課題で同定された
 ニーズを考慮し、更なる欠落に対処することによる)

発行元:Australian Radiation Protection and Nuclear Safety Agency (ARPANSA)

原文タイトル:Radiofrequency Electromagnetic Energy and Health: Research Needs.
Technical Report 178. June 2017.

URL:http://www.arpansa.gov.au/pubs/technicalreports/tr178.pdf

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