米国がん学会(ACS)が携帯電話電波のがんリスクに関するNTP研究の技術報告書草案に対する報道発表を発出

2018.2.6掲載

米国の国立環境衛生科学研究所(NIEHS)が2018年2月2日発表した、携帯電話電波のがんリスクに関する国家毒性プログラム(NTP)研究の技術報告書草案に対し、米国がん学会(ACS)は同日、報道発表を発出しました。

この中で、ACSのOtis W. Brawley博士は次のようにコメントしています。
「この報告書草案は、多くの懸念の創出と結び付けられていますが、実際には、私が今まで皆さんにお話してきたことと変わりません。つまり、携帯電話とがんとの関連の証拠は弱く、今のところ、人々に高いがんリスクは見られていません。但し、もしこの動物データが心配なら、イヤーピース[イヤホンマイク]を使いましょう。」

おそらく、今回のニュースから持ち帰るべきもっとも重要なことは、国立衛生研究所(NIH)の報道発表の次のくだりにあります。NTPの上級科学者のJohn Bucher博士は次のように述べています。
『電波ばく露のレベルと期間は、携帯電話の使用レベルが最も高い人々が経験するよりも遥かに大きいもので、しかもげっ歯類は全身にばく露されました。このため、これらの知見を人間の携帯電話使用に直接的に外挿すべきではありません。』この研究の動物は高いレベルに1日9時間ばく露されました。よって、幾つかの稀ながんとのつながりが重要であるとは言え、この研究が実生活のばく露を反映していると考える理由はありません。
Bucher博士は記者会見でこのことを確認していますし、この新たなデータを受けて携帯電話の使い方を変更したかという記者からの質問に対し、博士は自分も変更していないし、家族にも変更するよう話していない、と回答しました。
「幾つかの追加的な注意事項:記者会見で指摘されたように、ばく露された動物の中にはより多くのがんがあるものもいましたが、実際にはその動物は長生きしていました。また、ある動物種での知見をそのまま他の種に適用することはできません。更に、この研究は一般的な腫瘍については否定的で、これはやや安心させられるものです。この研究は、携帯電話は幾つかの非常に稀ながんと関連している『かも知れない』ことを示唆しているに過ぎません。新たな、より低エネルギーの携帯電話と基地局から生じるばく露レベルは、更に低い可能性があります。」
「覚えておくべき最後の点は、我々の決定または見解は、単一の研究に基づくべきではない、ということです。真実がどこにあるかを判断する際は、入手可能な全ての証拠を考慮する必要があります。実際、携帯電話とがんに着目した大半の研究は否定的です。」

この報道発表の原文は、以下のURLで確認することができます。
https://acspressroom.wordpress.com/2018/02/02/ntpcellphones2018/

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