国立環境衛生科学研究所(NIEHS)が携帯電話電波のがんリスクに関するNTP研究の査読会議を開催

2018.4.3掲載

米国の国立環境衛生科学研究所(NIEHS)は2018年3月26~28日、ノースカロライナ州リサーチトライアングルパークのNIEHS本部において、携帯電話電波の発がん性及び遺伝毒性についての国家毒性プログラム(NTP)研究に関する技術報告書草案の査読のための専門家会議を開催しました。

この専門家会議は2グループに分けられ、パネル1は動物の電波ばく露に用いた反射箱技術は妥当であるという点について合意しました。 パネル2は、NTP研究の技術報告書草案の結論に対し、以下の勧告を示しました。NIEHSは、これらの勧告を検討し、技術報告書の最終版を作成することになっています。

○マウスでの研究

    GSM変調1900 MHz電波ばく露と悪性病変: ・皮膚における線維肉腫、肉腫、または悪性の線維性組織球腫の発生率の合計に基づき、雄のマウスでの「発がん活性についての曖昧な証拠」との結論を受諾(賛成8票、反対3票、棄権0票)
  • 肺における肺胞/気管支腺腫または癌腫(合計)の発生率に基づき、雄のマウスでの「発がん活性についての曖昧な証拠」との結論を受諾(賛成11票、反対0票、棄権0票)
  • 悪性のリンパ腫(全ての臓器)の発生率に基づき、雌のマウスでの「発がん活性についての曖昧な証拠」との結論を受諾(賛成9票、反対2票、棄権0票)
    CDMA変調1900 MHz電波ばく露と悪性病変:
  • 肝臓における肝芽腫の発生率の発生率に基づき、雄のマウスでの「発がん活性についての曖昧な証拠」との結論を受諾(賛成10票、反対1票、棄権0票)
  • 悪性のリンパ腫(全ての臓器)の発生率に基づき、雌のマウスでの「発がん活性についての曖昧な証拠」との結論を受諾(賛成11票、反対0票、棄権0票)
    GSM及びCDMA変調1900 MHz電波ばく露と非悪性病変:
  • 雄または雌のマウスでの「非悪性病変の発生率の増加なし」との結論を受諾(賛成11票、反対0票、棄権0票)

○ラットでの研究

    GSM変調900 MHz電波ばく露と悪性病変:
  • 心臓における悪性の神経鞘腫の発生率に基づき、雄のラットでの「発がん活性の明確な証拠」との結論を勧告(賛成8票、反対3票、棄権0票)
    [※JEICによる注記:報告書草案の結論「発がん活性の何らかの証拠」から格上げ]
  • 前立腺における腺腫または肉腫(合計)の発生率に基づき、雄のラットでの「発がん活性の曖昧な証拠」との結論を受諾(賛成11票、反対0票、棄権0票)
  • 脳における悪性の神経膠腫の発生率に基づき、雄のラットでの「発がん活性の何らかの証拠」との結論を勧告(賛成7票、反対4票、棄権0票)
    [※JEICによる注記:報告書草案の結論「発がん活性の曖昧な証拠」から格上げ]
  • 脳における良性または悪性の顆粒細胞腫に基づき、雄ラットでの「発がん活性の曖昧な証拠」との結論を受諾(賛成11票、反対0票、棄権0票)
  • 脳下垂体の前葉における腺腫の発生率に基づき、雄ラットでの「発がん活性の曖昧な証拠」の結論を受諾(賛成10票、反対1票、棄権0票)
  • 副腎髄質における褐色細胞腫(良性、悪性、または複合型の合計)の発生率に基づき、雄のラットでの「発がん活性の何らかの証拠」との結論を勧告(賛成6票、反対4票、棄権1票)
    [※JEICによる注記:報告書草案の結論「発がん活性の曖昧な証拠」から格上げ]
  • 膵島細胞腺腫または癌腫(合計)の発生率に基づき、雄のラットでの「発がん活性の曖昧な証拠」との結論を受諾(賛成11票、反対0票、棄権0票)
  • 心臓における悪性の神経鞘腫の発生率に基づき、雌のラットでの「発がん活性の曖昧な証拠」との結論を勧告(賛成9票、反対2票、棄権0票)
  • [※JEICによる注記:報告書草案の結論「発がん活性の証拠なし」から格上げ]
    GSM変調900 MHz電波ばく露と非悪性病変:
  • 雄のラットでの「心臓、脳及び前立腺における非悪性病変の増加」との結論を受諾(賛成11票、反対0票、棄権0票)
  • 雌のラットでの「心臓、甲状腺及び副腎における非悪性病変の増加」との結論を受諾(賛成11票、反対0票、棄権0票)
    CDMA変調900 MHz電波ばく露と悪性病変:
  • 心臓における悪性の神経鞘腫の発生率に基づき、雄のラットでの「発がん活性の明確な証拠」との結論を勧告(賛成8票、反対3票、棄権0票)
    [※JEICによる注記:報告書草案の結論「発がん活性の何らかの証拠」から格上げ]
  • 脳における悪性の神経膠腫の発生率に基づき、雄のラットでの「発がん活性の何らかの証拠」との結論を勧告(賛成6票、反対4票、棄権1票)
    [※JEICによる注記:報告書草案の結論「発がん活性の曖昧な証拠」から格上げ]
  • 脳下垂体の前葉における腺腫の発生率に基づき、雄のラットでの「発がん活性の曖昧な証拠」の結論を受諾(賛成11票、反対0票、棄権0票)
  • 肝臓における腺腫または肉腫(合計)の発生率に基づき、雄のラットでの「発がん活性の曖昧な証拠」の結論を受諾(賛成11票、反対0票、棄権0票)
  • 脳における悪性の神経膠腫の発生率に基づき、雌のラットでの「発がん活性の曖昧な証拠」の結論を受諾(賛成8票、反対3票、棄権0票)
  • 副腎髄質における褐色細胞腫(良性、悪性、または複合型の合計)の発生率に基づき、雌のラットでの「発がん活性の曖昧な証拠」の結論を受諾(賛成10票、反対1票、棄権0票)
  • 心臓における悪性の神経鞘腫の発生率に基づき、雌のラットでの「発がん活性の曖昧な証拠」との結論を勧告(賛成9票、反対2票、棄権0票)
    CDMA変調900 MHz電波ばく露と非悪性病変:
  • 雄のラットでの「心臓、脳及び前立腺における非悪性病変の増加」との結論を受諾(賛成11票、反対0票、棄権0票)
  • 雌のラットでの「脳における非悪性病変の増加」との結論を受諾(賛成11票、反対0票、棄権0票)

この査読会議に関する情報は、以下のURLから入手できます。 https://ntp.niehs.nih.gov/go/36051

※参考情報: NIEHS(米国)が携帯電話電波のがんリスクに関するNTP研究の技術報告書草案を発表 (2018年2月5日掲載) https://www.jeic-emf.jp/academic/info/6072.html

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