オーストラリア放射線防護・原子力安全庁(ARPANSA)が携帯電話電波の発がん性に関する米国NTP研究についてのレビュー結果を発表

2019.1.16掲載

オーストラリア放射線防護・原子力安全庁(ARPANSA)は2019年1月14日、携帯電話電波の発がん性に関する米国の国家毒性プログラム(NTP)についてのレビュー結果を発表しました。
主な結論は以下の通りです。

「NTPの動物研究の知見は、携帯電話を使用する人々には適用できません。というのは、この研究では動物のばく露が(携帯電話を使用する人々とは)異なっていたためであり、この分野での更なる研究が推奨されます。私たちは、現時点での情報に基づき、携帯電話に対する現行の安全限度は、公衆衛生の防護の上で依然として受け入れられるものである、と信じています。

ARPANSAは、多くの動物を生涯にわたって電波にばく露したことを含む、幾つかの長所を持つNTP研究の完了を支持します。NTP研究の詳細な分析の結果、以下に示す幾つかの限界が認められ、ヒトの健康に対するその知見の関連性に更なる疑問を投げかけています。

  • ・電波にばく露したラットは比較対照の(電波にばく露しなかった)ラットよりも長生きでした。がんの発生率は長生きしたラットで高くなる傾向があるので、このことは結果にバイアス(偏り)を生じた可能性があります。
  • ・報告された影響はラットで生じましたが、マウスでは生じませんでした。このことについて、もっともらしい説明はありません。
  • ・報告された影響は雄のラットで生じましたが、雌のラットでは生じませんでした。このことについても、もっともらしい説明はありません。
  • ・明確な量-反応関係、即ち、がんの発生率がラットの電波ばく露レベルに伴って変化することを示す明確な関連性は認められませんでした。
  • ・報告された影響は偶然によって生じた可能性があります。というのは、この研究では複数の異なる検査を実施したので、がん発生率の上昇が単に偶然によって生じると予想されるよりも高いという統計的な徴候はありません。これは、しばしば多重比較または多重検査問題と呼ばれるものです。

これらの点は、研究のデザインのため、その結果からは解決できません。マウスまたは雌ラットでの知見がなかったことから、この研究の成果と、ばく露レベルがより低いヒトに対する関連性について、重要な疑問が残されています。」

このレビューの原文は、以下のURLで確認することができます。
https://www.arpansa.gov.au/news/arpansa-reviews-animal-study-radiofrequency-exposure-and-health

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