欧州議会の電磁界関連決議(2009年4月2日)に対する欧州委員会の考え(2009年7月2日)
欧州議会は、2009年4月2日、「電磁界に関連する健康上の懸念」についての決議を、賛成559票、反対22票、棄権8票で採択しました。これに対し欧州委員会は、2009年7月2日付で、「欧州議会決議のフォローアップ」と題して、決議に示された要求事項などに対する委員会の意見を提示しました。その主なものを、議会決議で示された要求事項などを付して以下に記します。
(議会決議)「(状況I)欧州連合(EU)は、電磁界の影響から作業者を防護するためのばく露制限値を記していること; 住民や消費者といった懸念される集団に対してもプレコーション的原則(precautionary principle)に基づいてそのような方策を講じるべきであること。」
<欧州委員会>「一定レベルのプレコーション(precaution)を盛り込んだばく露ガイドラインの防護の枠組みが、労働者と一般公衆の双方に対して導入されている(理事会勧告1999/519/EC)。製品や機器に対する指令や規格、労働者に対する物理的因子指令は、理事会勧告の制限値に依拠している。但し、この分野における規制アクションについての法的根拠がないために、一般公衆に対する立法化はなされていない。」
(議会決議)「(要求事項1)欧州委員会に対し、理事会勧告1999/519/ECに記された電磁界制限値の科学的根拠とその妥当性をレビューし、議会に報告することを強く求める。そのレビューを新興及び新規に同定される健康リスクに関する科学委員会(SCENIHR; Scientific Committee on Emerging and Newly Identified Health Risks)が実施することを求める。」
<欧州委員会>「欧州委員会は、SCENIHRの支援により、既に制限値の科学的根拠とその妥当性を定期的にレビューしている。このことは、2009年1月19日に採択されたSCENIHRの提言の最新版(2007年の提言を更新したもの)で証明されている。今後も適時更新していく。」
(議会決議)「(要求事項8)新たな電磁界放射機器の設置に、一時凍結の影響を及ぼす訴訟や公的機関による措置が増加していることを考慮して、新たなGSM(携帯電話の国際規格の一つ)アンテナまたは高圧電力線の設置基準を決定するため、また、少なくとも学校、保育施設、老人ホーム、および医療施設は、この種の設備から科学的基準により決定される一定距離をおくことを確実にするため、産業界の利害関係者、公的機関、軍当局、および住民団体が関与した、合意に基づく解決策を奨励することが、全般的な関心であると考える。」
<欧州委員会>「欧州委員会には、そのような影響に対するEUのガイドラインの策定を支援する用意がある。」
(議会決議)「(要求事項21)欧州委員会に対し、多くの加盟国における公衆の懸念を認識して、各国の専門家、非政府組織、産業部門といった関連する全ての利害関係者と共同で、無線技術および防護基準に関する専門家でない人々にとってわかりやすい最新情報の入手しやすさとアクセスを改善するよう求める。」
<欧州委員会>「欧州委員会は、全ての利害関係者との作業の継続を望んでおり、専門家でない人々にとってわかりやすい最新情報を入手しやすくしている。」