1Hz~100kHzまでの低周波電磁界に関するガイドライン
2010年11月16日、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)は、1Hz~100kHzまでの時間変化する電界および磁界に関するガイドラインを公開しました(以下、新ガイドラインといいます)。これは、1998年に公表されたガイドライン(以下、旧ガイドラインといいます)の周波数100kHz以下の内容に取って代わるものです。
1998年以来、低周波電界および磁界の生物影響について数多くの科学研究がなされ、1Hz~100kHzまでの周波数帯について、国際がん研究機関(IARC)の発がん性評価(2002)、ICNIRPによる科学論文レビュー(2003)、世界保健機関(WHO)の健康リスク評価(2007)が行われてきました。これらの科学的知見の蓄積により、科学的データに基づいた電界および磁界へのばく露を防護することを目的としたガイドラインの見直しがなされました。
したがって、旧ガイドラインは300GHzまでを網羅していましたが、新ガイドラインは1Hz~100kHzまでの時間変化する電界および磁界を扱っています。また、0Hz~1Hzの周波数については、別途ガイドラインが公表される予定です。なお、静磁界については、2009年に静磁界に関するガイドラインが公表されています。
新ガイドラインでは、基本制限の指標を体内誘導電界としたこと、基本制限の根拠として磁気閃光現象を重要視したこと、体内誘導電界や参考レベルの導出に用いる計算手法が格段に進歩したこと、低レベル磁界ばく露の長期的影響については、ばく露制限の根拠として用いるには十分でないこと、などの論拠が示されています。
これにより、新ガイドラインの周波数50Hz・60Hzにおける磁界の参考レベルは200µTに変更されました。なお、新ガイドラインおよびファクトシートの全文は以下より入手可能です。
原文
- ガイドライン:ICNIRP Guidelines for Limiting Exposure to Time-Varying Electric and Magnetic Fields (1 Hz - 100 kHz). Health Physics 99(6):818-836; 2010.
- ファクトシート:Fact Sheet on the ICNIRP Guidelines for Limiting Exposure to Time-Varying Electric and Magnetic Fields (1 Hz - 100 kHz). Health Physics 99(6):818-836; 2010.
参考資料
また、電磁界情報センターでは、新しいガイドラインとファクトシートを日本語訳し、ICNIRPの許諾を得てウェブサイトに掲載しました。日本語訳をご希望の方は以下から入手可能です。