動物発がん性研究についての注釈
国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)は、「2018年に発表された2報の無線周波(RF)電磁界の動物発がん性研究についての批判的評価」と題する注釈(ICNIRP Note)を、査読誌Health Physicsに発表しました。
この文書の結論は以下の通りです。
「米国国家毒性プログラム(NTP、2018a)[JEICによる注記:ラットを用いた研究]及びFalcioni他(2018)はどちらも、雄ラットにおける発がん結果の有意な発生率上昇を報告していますが、これらの結果は相互に一貫性がなく、NTP(2018b)[JEICによる注記:マウスを用いた研究]とも、雌ラットについての結果とも、RF電磁界とがんについての文献全般(新興・新規に同定された健康リスクについての科学委員会(SCENIHR、2015);オランダ保健評議会(HCN、2016);スウェーデン放射線安全庁(SSM、2018))とも一貫性がありません。NTP研究の[他の研究から]解離した知見は、統計的分析ではばく露群のラットがより長生きであったこと、病理学的分析で盲検化がなされていなかったこと、統計的分析で偶然の結果について十分に考慮されていなかったことを含む、重要な手法上の限界のため、更に複雑です。これら2報の研究の限界は全体として、RF電磁界に関連した発がん性について結論を導くことを妨げています。」