RRG評価:全米科学アカデミー(NAS)報告書
「在外大使館の米国政府職員とその家族における病気の評価」【2020.12】

対象論文

報告書タイトル An Assessment of Illness in U.S. Government Employees and Their Families at Overseas Embassies. (在外大使館の米国政府職員とその家族における病気の評価)
著者 David A.RelmanおよびJulie A.Pavlin(編集者)
掲載学術誌 National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine. 2020. An Assessment of Illness in U.S. Government Employees and Their Families at Overseas Embassies. Washington, DC: The National Academies Press. https://doi.org/10.17226/25889

2016年にキューバのハバナにある米国大使館、その後中国の広州にある米国領事館の職員とその家族が、大きな騒音を感じる、耳の痛み、頭部の激しい圧迫感や振動、めまい、視覚障害、認知障害等の異常な、時として突発的な症状に見舞われ始め、その多くが今でも健康問題に苛まれています。米国国務省は、全米科学アカデミー(NAS)*1に対し、そうした健康問題の潜在的原因の調査と、将来のための助言を要請しました。

NASは調査結果を取りまとめた報告書を2020年12月に発表しました。NASの調査委員会は、そうした健康問題を説明するメカニズムとして、指向性パルス化無線周波エネルギー(電磁波)、化学物質ばく露、ジカウィルス等の感染症、心理学的問題の可能性を検討しました。その結果、電磁波が一番もっともらしいようであると結論付け、その根拠として「マイクロ波聴覚効果」が原因であるとする仮説を引用しています。

電磁界情報センターでは、同報告書の結論の信憑性について検討する必要があると考え、学術専門家グループ(Rapid Response Group;RRG)*2に対し、同報告書で引用されている「マイクロ波聴覚効果」についての仮説を検証し、RRG評価書を提出するよう依頼しました。

  • 全米科学アカデミー(NAS):リンカーン大統領が署名した議会憲章(1863年)の下で運営されている、民間の非営利団体です。2016年、NAS、全米技術アカデミー(NAE:1964年設立)、全米医学アカデミー(NAM:1970年設立)で「全米科学工学医学アカデミーズ(NASEM)」を構成しました。NASEMは、科学、工学および医学に関連した複雑な問題を解決し、公共政策の決定のための情報を提供するため、独立した客観的分析を提示し、国に助言することを目的としています。今回の調査報告書は、正確にはNASEMが作成したものです。
  • RRG:電磁界情報センターが組織する専門家ネットワーク の一部で、海外の専門家からなる科学論文レビューグループ

RRG評価書の要点は以下の通りです。

上記に記載の論文の概要は、電磁界情報データベースで閲覧が可能です。

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