よくある質問と回答
10-1送電鉄塔や送電線が大きくなると発生する電磁波(磁界)も強力なのでしょうか?
一般的に、大型の鉄塔は電線も太く流せる電流は大きくなります。
一方、送電線や鉄塔の規模が大きくなると、電線の地上高も高くなり地表からの距離は離れます。
送電線から発生する電磁波(磁界)の強さは電流の大きさに比例し、電線(磁界の発生源)からの距離の概ね2乗に反比例する性質がありますので、電流値よりも磁界発生源からの距離が大きく影響します。したがって、地上付近の磁界の強さは必ずしも鉄塔や送電線の規模によるわけではありません。
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10-2全ての家電製品から電磁波(電磁界)が発生しているのでしょうか?また、家電製品の電源を切れば電磁界は発生しないのでしょうか?
電圧がある場所には電界が発生します。また、電流が流れている場所には磁界が発生します。
つまり、家電製品をコンセントにつないだ状態で電界が発生します。さらに、家電製品を使用している(スイッチを入れた)状態では磁界も発生します。
電磁波(電磁界)とは、電界と磁界をあわせたものですから、家電製品を使用すれば電磁界が発生しています。
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10-3家電製品を多く使用すると電磁波(磁界)のばく露が大きくなるのでしょうか?
家電製品を多く使用する場合、電磁波(磁界)へのばく露レベルが高くなる可能性はありますが、生活環境では健康への悪影響を生じるほどの高いレベルのばく露が生じることはありません。
家電製品の使用時には、低周波磁界や中間周波磁界が発生します。
これまで数十年間にわたり世界中で実施されてきた膨大な研究で、非常に強い低周波磁界の刺激作用によって健康に悪影響が生じる可能性があるばく露レベルが明らかにされています。
国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)は、これらの研究成果に基づき、健康に悪影響を及ぼさないレベルとして十分に安全率を盛り込んだガイドラインを策定しています。
電磁界情報センターでは、今までにテレビ、エアコン、洗濯機など42種目の家電製品の低周波磁界やIH調理器からの中間周波磁界について、国際規格(IEC62233)に基づく測定を実施しました。その結果、IH調理器を含む家電製品から発生する磁界の強さは、いずれもICNIRPガイドラインの制限値よりも低く、高くても数%程度であることを確認しています。
複数の家電製品を使用する場合、この割合の合計が100%を超えないようにする必要がありますが、実際には磁界の強さは発生する機器との距離で急速に弱まるので、一般的な生活環境で100%を超えることは無いと考えられます。
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10-4 IH調理器とラジエントヒーターはどのような違いがあるのでしょうか?
それぞれ温める仕組みが違います。
IH調理器は誘導加熱という原理で、周波数20kHz(キロヘルツ)~90kHzの電磁波(電磁界)により直接鍋を温めるものです。一方、ラジエントヒーターは調理器に設置されたニクロム線を加熱し、その熱を鍋に伝える方式で、フラットなプレートの下にニクロム線を埋め込んだ調理器具です。
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10-5携帯電話の健康影響に関する研究結果の公表が予定されていると聞きましたが、どのような内容がどのようなスケジュールで公表されるのでしょうか?
世界保健機関(WHO)は、電波高周波電磁界の総合的な健康リスク評価を実施し、その評価結果を環境保健クライテリア(EHC)文書として2023年以降に刊行することを予定しています。
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10-6ハイブリッド車、電気自動車は電磁波(磁界)を発生するのでしょうか?どのくらいの磁界の強さなのでしょうか?
ハイブリッド車(エンジン+バッテリー+モーター、プラグインハイブリッド車を含む)も電気自動車(バッテリー+モーター)も、電気を使用して走行する際には電磁波(磁界)が発生します。
また、ガソリン・ディーゼルエンジン自動車も含めたすべての自動車では、カーナビゲーションやエアコンなどの内装機器を動かすために電気を使用しているため、磁界が発生します。
電磁界情報センターでは、今までに屋内試験施設を用いて、走行速度40km/h一定での電気自動車、ハイブリッド自動車、ガソリンエンジン自動車の車内の磁界を測定しました。その結果、車内の磁界の強さは、いずれも国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)ガイドラインのばく露制限値よりも低いことを確認しています。
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10-7超音波、超低周波音とはなんですか。
超音波、超低周波音とは人が聞こえない帯域の周波数の音波であり、電磁波とは異なります。
超音波は周波数が10 kHz(キロヘルツ)以上でだんだん聞こえにくくなり、16kHz~18kHzを超えると一般的には聞こえないと言われています。
一方、低周波音とは20Hz(ヘルツ)以下の音波で、これも人間が音として知覚することは困難で振動として感じる場合があります。低周波音は近隣騒音問題として民事訴訟になる例もあります。
ただし、これらの音波と電磁波は全く異なるものです。
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10-8植込み型心臓ペースペーカを入れましたが、電磁波(電磁界)に対して注意することはありますか?(MRI、携帯電話、IH調理器、空港のゲート、など)
植込み型心臓ペースペーカは、電子・電気機器から発生する電磁波(電磁界)の影響で誤動作を起こす恐れがあります。
MRIなどの強い磁界を発生する医療機器は、ペースペーカの誤動作を引き起こす場合があります。受診の際は、医療機関にご相談して下さい。
IH調理器やIH炊飯器を使用する時は、植込み部位が機器に近づかないようにして下さい。
携帯電話が一定の距離(15cm程度)に近づくと、一部のペースペーカでは誤動作を起こす場合があることが過去の実験で確認されています。詳細は、総務省ウェブサイト「電波の医療機器への影響に関する調査報告書」や電波環境協議会ウェブサイト「医用電気機器への電波の影響を防止するための携帯電話端末等の使用に関する指針」などをご確認下さい。
空港のゲートを通過する時は、ペースペーカを装着している旨を係員に申し出て下さい。
鉄道の自動改札で非接触IC カードを使用する時は、植込み部位を読み取り機から12cm以上離してください。
図書館やレンタルビデオ店の入口で見かける電子商品監視装置を通過する時は、立ち止まらずにゲート間の中央を速やかに通過してください。また、ゲートに寄りかからないようにしてください。
低周波治療器は使用しないで下さい。電磁界の影響ではありませんが、低周波治療器は体に電流を流す機器のため、その影響でペースペーカの誤動作が起こります。
電気自動車(プラグインハイブリッド車を含む)用の充電器は、以下の点に注意して下さい。
- 電気自動車の急速充電器は使用しないこと。
- 急速充電器を設置している場所には、可能な限り近づかないこと。なお、不用意に近づいた場合には、立ち止まらず速やかに離れること。
- 電気自動車の普通充電器を使用する場合、充電中は充電スタンドや充電ケーブルに密着するような姿勢はとらないこと。
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10-9電磁波(電磁界)を使った治療など、人体に良い利用方法はありませんか。
電位治療器など電磁界を使った医療機器はあります。
医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品について安全性と、体への有効性を確保するための法律「薬機法(旧薬事法)」で定められた医薬部外品の中で循環改善を目的として電磁界を使った領域のものがあります。
また、低周波治療器(電気治療器)は、周波数の低い電気を身体に流すことにより痛みの緩和や筋肉のこりを解消させる治療法で電位治療器とは原理が違います。
臨床では、がん治療や関節の機能改善を目的としたジアテルミ(温熱療法)という療法があります。これは、周波数10MHz(メガヘルツ)以上の強い高周波電磁界(電波)では人体に対して熱作用があることを利用しています。
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10-10疫学研究とはなんですか。
疫学研究とは、人間の集団における病気の発生状況(罹患率や死亡率)と、その原因である可能性がある(仮説上の)要因との関係を、統計学的に分析する研究手法です。
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10-11電子レンジで調理した食材成分の変化あるのでしょうか?
世界保健機関(WHO)の情報シート「電子レンジ」によると、「電子レンジで調理された食品は、オーブンで調理された食品と同じように安全であり、栄養値も変わりません。」という記述があるように、電子レンジで調理した食材の成分が健康に悪影響を及ぼすというようなことはありません。
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10-12電磁波(電磁界)の健康影響について研究を行っている日本の研究機関はどこですか?
数多くの大学や国公立・法人の研究機関が電磁波(電磁界)に関する研究を行っています。
電力中央研究所は長年、低周波電磁界や中間周波電磁界について研究を行っています。
低周波電磁界については、経済産業省、環境省、厚生労働省、文部科学省が公募で研究資金を提供して来ました。
中間周波電磁界については、厚生労働省が研究資金を公募で研究資金を提供して来ました。総務省は公募で研究資金を提供しています。
高周波電磁界については、総務省が数多くの研究課題を設けて現在も公募で研究資金を提供しています。
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