国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)が
無線周波(RF)ガイドライン改定版を発表

2020.3.12掲載

国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)は2020年3月11日付で、無線周波(RF:100 kHzから300 GHzまで)電磁界にばく露されるヒトの防護のため新たなガイドラインを発表しました。

ICNIRPは1998年、「時間変化する電界、磁界及び電磁界によるばく露を制限するためのガイドライン(300 GHzまで)」を策定しました。ICNIRPはその後も関連の研究結果を定期的に精査し、2018年にRF領域についてのガイドライン改定版の意見聴取用草案(Public Consultation Draft)を発表しました。今回発表されたものは、その正式版です。

同時に発表された報道発表によれば、この新ガイドラインは、来るべき第5世代移動通信(5G)システム技術、ならびに振幅変調(AM)及びDAB[Digital Audio Broadcast:デジタルラジオの規格の一つ]ラジオ、Wi-Fi、Bluetooth、及び現在利用されている3G/4G携帯電話をカバーしています。

この改定版における主な変更点は、6 GHzを超える周波数についてのものです。これには以下が含まれます。

  • 全身へのばく露に対する制限の追加
  • 身体の小さな領域への短時間(6分間未満)のばく露に対する制限の追加
  • 身体の小さな領域への最大許容ばく露の低減

ICNIRP議長のEric van Rongen博士は、報道発表で次のように述べています。

  • 「この新ガイドラインの策定には7年間を要し、今後5Gに利用される、より高い周波数に対して、1998年版のガイドラインよりも適切です。
  • 我々は、5Gの安全性が懸念されていることを承知しており、この改定されたガイドラインが人々に安心感を与えることを望んでいます。
  • このガイドラインは、関連する全ての科学文献の徹底的レビュー、科学ワークショップ及び広範な意見聴取のプロセスの後に策定されました。このガイドラインは、100 kHzから300 GHzまでの範囲の電磁界ばく露による、科学的に実証されている全ての健康への悪影響に対する防護を提示するものです。
  • ガイドライン改定に際し、我々は1998年版の妥当性に着目しました。1998年版は大半のケースで保守的[安全側に配慮したもの]であり、依然として現行の技術に対して妥当な防護を提示していることがわかりました。但し、新ガイドラインは、特に6 GHz超のより高い周波数範囲に対し、より良い、より詳細なばく露ガイダンスを提示するものであり、このことは、そうした高い周波数を用いる5G及び将来の技術にとって重要です。人々にとって覚えておくべき最も重要なことは、この新ガイドラインを遵守している限り、5G技術が害を生じることはあり得ない、ということです。」

このガイドライン改定版におけるその他のマイナーな変更点には以下が含まれます。

  • 保健防護の関係者が関与し易くするための、ガイドラインの論理と科学的根拠の透明性の向上
  • ガイドラインへの適合を評価する手段の追加
  • 複雑なばく露シナリオの評価方法の更なる明確化

この「電磁界へのばく露制限についてのガイドライン」の全文、報道発表、「ICNIRPのRFガイドライン2020年版に関連した、よくある質問と回答(FAQ)」、「ICNIRPガイドライン(2020年版)と旧版との相違点」は、 ICNIRPのウェブサイト から入手可能です。

ガイドライン全文は、科学誌Health Physicsのウェブサイトにも掲載されています。

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