オーストラリア放射線防護・原子力安全庁(ARPANSA)が
携帯電話使用と唾液腺腫瘍との関連はないとの研究結果を発表
2021.5.26掲載
オーストラリア放射線防護・原子力安全庁(ARPANSA)は2021年5月24日付で、 ARPANSAとニュージーランドのオークランド大学が実施した研究では携帯電話使用と唾液腺腫瘍との関連は認められなかった、と発表しました。
ARPANSAの発表内容は以下のとおりです。
この研究は、科学誌Cancer Epidemiology[がん疫学]に掲載されたもので、 オーストラリアにおいて一般国民の間で携帯電話使用が増加した時期に重なる1982年から2016年までに発生した、 耳下腺およびその他の唾液腺のがんの件数に着目しました。
同日付の報道発表で、ARPANSAのKen Karipidis非常勤准教授は次のように述べています。
「携帯電話を頭に当てがって使用する際、唾液腺、中でも特に、 耳の前にある耳下腺が、身体の中で最もばく露されます。この研究で分析した34年間のデータは、 携帯電話使用が耳下腺またはその他の唾液腺のがんの発生を増加させたということを示していません。」
この研究は、2006年以降の女性の唾液腺がんの僅かな増加を見つけましたが、 男性と女性で携帯電話使用と電波吸収は同様であることから、 女性に特に関連する[携帯電話使用ではない]その他の要因が原因かもしれません。
これについてKaripidis准教授は次のように述べています。
「この[2006年以降の女性の唾液腺がんの僅かな]増加は、 唾液腺がんの原因、および、性別による差にインパクトを与えるかもしれない何らかの要因について、更なる研究が必要であることを強調しています。」
この研究の知見は、国際的な安全基準の範囲内の高周波電磁エネルギー[電波]へのばく露は人体に対して健康への悪影響を何ら生じないという、 国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)の評価とも一致しています。
オーストラリアの安全基準は最近、国際的な基準にあわせて更新されています。
ARPANSAの報道発表は以下のURLで確認できます。