オーストラリア放射線防護・原子力安全庁(ARPANSA)が
電波と健康についての研究支援を発表
2022.4.25掲載
オーストラリア放射線防護・原子力安全庁(ARPANSA)は2022年4月21日付で、同国政府の電磁エネルギー(EME)プログラムの下で、電波と健康についての優先的研究の支援のため、14万豪ドル[約1300万円]の資金を王立メルボルン工科大学(RMIT)に提供すると発表しました。
ARPANSAのEMEプログラム責任者のSarah Loughran准教授は次のように述べています。
「細胞膜の透過性に対する非電離放射線のインパクトを調査する研究提案を進めるため、RMITおよびオーストラリア電磁生体影響研究センター(ACEBR)のチームと一緒に仕事ができることをうれしく思います。この研究は、高周波電波の潜在的な非熱作用についての調査を通じて現在の研究におけるギャップを埋め、非熱作用が認められる可能性のあるばく露レベルについての理解を深めることを目的としています。」
2021年の提案募集後の競争的過程を経て選択されたこのプロジェクトを主導する、RMITのElena Ivanova特別教授は次のように述べています。
「この重要な研究に対するARPANSAの支援を大変うれしく思います。古い移動通信システムに関する科学文献は相当あるものの、第5世代(5G)システム用に計画されているミリ波周波数についての文献は比較的少ないです。5Gの導入についての社会的関心の強さを考えれば、この知識は非常に重要です。」
この研究は、ARPANSAのEMEプログラム研究フレームワークの下で助成される最初の大型プロジェクトで、大学、病院、および医学研究機関に対し、EMEと健康についての研究における優先的分野に対処するための資金と支援にアクセスするものです。
Loughran准教授は次のように述べています。
「この研究と、EMEプログラムの下で実施中の研究は、電磁放射の有害な影響からの人々と環境の防護における私たちの仕事を支える価値ある証拠を提示します。この研究は、この重要なトピックに対する国際的な知識体系を更に構築する助けになる、多くの研究の最初のものです。」
この研究支援についてのARPANSAの発表の原文は、以下のURLで確認できます。
JEICによる注記
オーストラリアでは「電磁エネルギー(EME)」という用語が「電磁界」と同じ意味で用いられています。